血管内留置ラインの先端部培養のトリアージ方針による費用削減および方針の臨床的許容性
Cost savings and clinical acceptability of an intravascular line tip culture triage policy
J. Colston*, B. Batchelor, I.C.J.W. Bowler
*Oxford University Hospitals NHS Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2013) 84, 77-80
背景
血管内に留置しているラインの先端部の培養は、血管内留置ライン関連の静脈炎および菌血症の診断に有用である。しかし、この検査法は特異度が不十分であり、血管内留置ライン関連菌血症の的中率が低い。最近のランダム化試験からは、血管内留置ライン先端部を冷蔵保存し、先端部を受け取る前の 7 日間またはそれ以降に菌血症が発生した場合のみにこれを培養することによって、的中率が上昇し費用削減がもたらされることが示されている。
目的
同様のトリアージ方針を、英国にある著者らの 1,400 床の国民保健サービス(NHS)教育病院に導入可能かどうかを検討した。検査室の費用削減および臨床的許容性を評価した。
方法
新規トリアージ方針導入前後の各 5 か月間の血管内留置ライン先端部の受け取り、保存、および培養の件数のデータ、および受け取った血液培養の件数のデータを、患者の微生物データベースから収集した。
結果
方針導入後の 5 か月間に受け取った 134 の血管内留置ライン先端部のうち、101 サンプル(75%)は冷蔵保存したが培養せず、33 サンプルは培養に供した。これらの 134 サンプル中 7 サンプル(5%)が培養陽性であり、3 サンプルからは同時期に実施した血液培養と同一の微生物が検出された。監査の結果、方針の遵守率は 98%を超えたことが示された。方針導入後の 1 年間の費用削減の推計値は 3,166.96 ポンドであった。この方針は医師にとって許容可能であった。
結論
この方針は、導入によって費用削減がもたらされ、また臨床的に許容可能であった。本方針が英国の全 NHS に導入された場合、NHS の 1 年間の費用削減は 300,000 ポンド程度であると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
ルーチンの検査費用のコストセーブと、検査をリアルタイムで行う迅速性との兼ね合いは常に課題である。リスク因子も加味して、迅速診断的に行うべき検査と保管管理下で疑わしい例の検体を分析するのかを層別化することが必要であろう。
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