エジプトの新生児集中治療室における院内感染サーベイランス
Nosocomial infection surveillance in an Egyptian neonatal intensive care unit
F. Abdel-Wahab*, M. Ghoneim, M. Khashaba, A.-H. El-Gilany, D. Abdel-Hady
*Mansoura University, Egypt
Journal of Hospital Infection (2013) 83, 196-199
背景
院内感染は、新生児集中治療室(NICU)の主要な懸念事項となっており、また疾患および死亡の重要な原因となっている。
目的
本研究の目的は、エジプトの NICU における院内感染の発生率、解剖学的部位、および起因微生物を明らかにすること、また入院期間および死亡率に対する院内感染の影響を評価することである。
方法
Mansoura University Children’s Hospital の NICU で 12 か月間にわたり、病院受診者を対象とした記述的研究を実施した。院内感染発生率を種々の分母を用いて算出した(全院内感染発生率、院内感染発生密度、デバイス別の感染発生率、およびデバイス日あたりの感染発生率)。
結果
評価した新生児 238 例中 49 例に 51 件の院内感染エピソードが発生し、発生率は 21.4%、1,000 床日あたり 13.8 件であった。最も頻度が高い感染は肺炎(11.3%)、次いで血流感染(8.8%)であった。最も高い頻度で分離された微生物はクレブシエラ(Klebsiella)属菌(33.3%)、次いで大腸菌(Escherichia coli)(21.6%)であった。院内感染と入院期間延長との間に関連が認められた。
結論
院内感染は Mansoura University Children’s Hospital の NICU における重大な問題である。グラム陰性菌、特に Klebsiella 属菌は、発展途上国の他の研究からも報告されているように、新生児の院内感染の優勢な起因菌であった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
腸内細菌科の細菌を中心とした施設内感染伝播が継続しているとの報告である。地域や国により耐性菌のメカニズムも異なるが、諸外国の事情を理解し自国の感染対策の事情と比較することで改善の糸口が見いだせる場合もあり、興味深い。
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