メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)高リスク入院患者のスクリーニングのための増菌培養検査への Xpert MRSA 法の併用の費用対効果
Cost-effectiveness of supplementing a broth-enriched culture test with the Xpert meticillin-resistantn Staphylococcus aureus (MRSA) assay for screening inpatients at high risk of MRSA
J. Li*, K. Ulvin, H. Biboh, I.S. Kristiansen
*University of York, UK
Journal of Hospital Infection (2012) 82, 227-233
背景
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)は、合併症および費用の点で医療における大きな課題となっている。最も一般的な MRSA 検出法は依然として細菌培養法であるが、ノルウェーの Ullevål Oslo 大学病院は 2009 年、PCR 法を使用する Xpert MRSA 法を導入した。
目的
積極的サーベイランス戦略の一環として、増菌培養検査に Xpert MRSA 法を併用した場合の費用対効果を培養検査のみの場合と比較すること。
方法
決定木モデルを作成し、現行の戦略(増菌培養検査)と Xpert MRSA 法を用いる 2 種類の新規戦略(日中のみ、または 1 日 24 時間)との比較を行った。費用およびアウトカム(暫定的隔離期間、病室使用不能時間、QOL)を評価した。
結果
現行の戦略の費用(患者 1 例あたり 16,984 クローネ)は、日中 Xpert 戦略(患者 1 例あたり 7,360 クローネ)または 24 時間 Xpert 戦略(患者 1 例あたり 3,690 クローネ)と比較して高価であった。新規戦略により、患者 1 例あたりの暫定的隔離時間は減少し(減少は日中 Xpert 戦略 43.9 時間、24 時間 Xpert 戦略 57.5 時間)、患者 1 例あたりの病室利用不能時間も減少した(減少はそれぞれ 57.1 時間、77.7 時間)。患者の質調整生存年(QALY)の改善はわずかであった(改善は日中 Xpert 戦略 2.4 × 10-4 QALY、24 時間 Xpert 戦略 3.0 × 10-4 QALY)。感度分析により、モデルに使用したパラメータの通常の変動範囲内では、これらの結果は一貫していることが示された。
結論
24 時間 Xpert 戦略により、通常の想定条件下において他の方法と比較して費用および望ましくないアウトカムが減少し、望ましいアウトカムが改善することから、積極的サーベイランスの最良の戦略であると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
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