イタリアの新生児集中治療室における広範囲薬剤耐性アシネトバクター・バウマニー(extensively drug-resistant Acinetobacter baumannii;XDRAB)クローンの拡散および患児の同菌獲得のリスク因子
Clonal spread and patient risk factors for acquisition of extensively drug-resistant Acinetobacter baumannii in a neonatal intensive care unit in Italy
R. Zarrilli*, A. Di Popolo, M. Bagattini, M. Giannouli, D. Martino, M. Barchitta, A. Quattrocchi, V.D. Iula, C. de Luca, A. Scarcella, M. Triassi, A. Agodi
*University ‘Federico II’, Italy
Journal of Hospital Infection (2012) 82, 260-265
目的
イタリアの大学病院の新生児集中治療室(NICU)で発生した広範囲薬剤耐性アシネトバクター・バウマニー(extensively drug-resistant Acinetobacter baumannii;XDRAB)のアウトブレイクについて報告すること。患児の A. baumannii 獲得のリスクプロファイル、および実施したアウトブレイク制御策について述べる。
方法
菌株の抗菌薬感受性を微量希釈法により評価した。パルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)および複数部位塩基配列タイピング(MLST)による遺伝子型判定を行った。PCR 法および DNA シークエンシングによりカルバペネマーゼ遺伝子の分析を行った。症例対照研究デザインにより A. baumannii 獲得のリスク因子を特定した。
結果
新生児 22 例から A. baumannii が分離され、このうち 6 例は感染であった。シークエンス型(ST)2 に分類される優勢な PFGE 型が特定され、これは International Clone II 型に相当するものであった。このクローンは、同病院の成人 ICU からの分離株との識別ができなかった。A. baumannii 分離株にはアミノグリコシド系、キノロン系、およびβ-ラクタム系抗菌薬耐性が認められたが、チゲサイクリンおよびコリスチン感性であった。カルバペネム耐性は、blaOxA-23 遺伝子を含むトランスポゾン Tn2006 の存在と関連していた。単変量解析では、NICU 入室期間、A. baumannii 曝露期間、在胎期間、侵襲性デバイスの使用、および侵襲性デバイス曝露期間が A. baumannii 獲得と有意に関連していたのに対し、多変量解析による独立リスク因子は中心静脈カテーテル曝露期間および人工呼吸器曝露期間のみであった。
結論
今回の NICU における XDRAB アウトブレイクは、成人 ICU に入室していた母親の新生児の保菌を介した院内伝播が原因であると考えられた。アウトブレイクの制御には感染制御策の強化が必要であった。
サマリー原文(英語)はこちら
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