MRSA 発生率に対する感染制御実践および抗菌薬使用の経時的影響

2012.11.30

Temporal effects of infection control practices and the use of antibiotics on the incidence of MRSA


X. Bertrand*, J.M. Lopez-Lozano, C. Slekovec, M. Thouverez, D. Hocquet, D. Talon
*Centre Hospitalier Universitaire Besançon, France
Journal of Hospital Infection (2012) 82, 164-169
背景
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)は世界中に広がっており、各地で高度な流行がみられている。MRSA の制御戦略を実施する必要性については、もはや議論の余地がない。
目的
フランスの 1,200 床の大学病院における種々の感染制御実践および抗菌薬の使用と MRSA 発生率の経時的関連を明らかにすること。
方法
フランスの 1,200 床の大学病院における 9 年間(2000 年 1 月から 2008 年 12 月)の月次データに基づいて多変量時系列解析を実施し、種々の因子と MRSA 発生率との経時的関連を明らかにした。MRSA 保菌圧、感染制御実践、および抗菌薬使用について解析を行った。
結果
時系列解析により、病院獲得型 MRSA(HA-MRSA)発生率と MRSA 保菌圧、抗菌薬使用(フルオロキノロン系、マクロライド系、アミノグリコシド系)、および手袋使用との間に有意な正の関連が認められた。これとは逆に、HA-MRSA 発生率と擦式アルコール製剤の使用との間には全体として負の相関が認められた。このモデルにより、月間の MRSA 発生率の変動の 40.5%が説明された。
結論
本研究により、MRSA 感染患者の入院、抗菌薬の使用、および感染制御実践が HA-MRSA 発生に寄与することが示された。このことから、手指消毒の遵守向上を目標とした取り組みが必要であることが示唆される。さらにこれらの結果は、MRSA 感染患者のケアを行う際に手袋を使用することについて、懸念を提起するものである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
MRSA 対策に王道はなく、総合的な感染対策が求められる。

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