休日実施の血液透析後の C 型肝炎ウイルス感染の疫学的・分子的研究

2012.11.30

Epidemiology and molecular investigation of hepatitis C infection following holiday haemodialysis


K.M. Roy*, A. Galmés-Truyols, J. Giménez-Duran, E. Anderson, H. Prempeh, F. Gonzàlez-Candelas, M.A. Bracho, C. Aitken, R. Mactier, E. Tejera for and on behalf of the Incident Groups in Scotland and Spain
*Health Protection Scotland, UK
Journal of Hospital Infection (2012) 82, 158-163
背景
血液透析患者の C 型肝炎ウイルス(HCV)感染はまれではない。既報の多くは、透析室で最も多くみられる伝播様式は患者間の直接または間接伝播であることを示唆している。
目的
マジョルカ島の同一の透析室で休日に血液透析を受け、8 週以内に急性 HCV 感染症を発症したスコットランド人 2 例のアウトブレイクの発生源と伝播経路の調査を行った。
方法
9 か国の血液透析患者コホートを対象として、HCV 感染の多国間の疫学的・分子的研究を実施した。
結果
マジョルカ島のこの透析室で血液透析を受けた現地住民および休日行楽客に、新規の HCV 感染は認められなかった。分子的調査から、スペイン人医療従事者がスコットランド人患者 2 例の感染源であることが確認された。伝播経路の特定はできなかった。
結論
本アウトブレイクは、透析室における医療従事者から患者への HCV 伝播の最初の報告例であり、侵襲的手技を実施していない医療従事者からの伝播としては 3 例目の報告である。非侵襲的手技に関連する伝播リスクについて、透析室は例外的な医療環境であるのかという問題は、英国や海外の透析室における血液由来ウイルス伝播のサーベイランスを改善する必要性と併せて、検討すべき課題である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
行楽地の透析施設でのアウトブレイク事例報告である。HCV については、HBV よりも低い水準の感染予防の取り扱いを容認している国もあり、注目される。

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