塩基配列に基づくインフルエンザ A(H1N1)pdm09 ウイルス院内感染の特定および特性評価

2012.11.30

Sequence-based identification and characterization of nosocomial influenza A(H1N1)pdm09 virus infections


M. Jonges*, J. Rahamat-Langendoen, A. Meijer, H.G. Niesters, M. Koopmans
*Centre for Infectious Disease Control, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2012) 82, 187-193
背景
インフルエンザのような伝播性の高いウイルスは院内感染の発生原因となることがあり、そのために患者の疾患と死亡が増加する。
目的
インフルエンザウイルスの遺伝子配列のデータを、インフルエンザの個人間の院内伝播を特定するために利用できるかどうかを評価すること。
方法
オランダの 1 施設の病院から得た A(H1N1)pdm09 陽性サンプル(107 件)を市中症例からのサンプル(685 件)と比較した。赤血球凝集素、ノイラミニダーゼ、および PB2 の遺伝子フラグメントのシークエンシングを実施した後に、同一のインフルエンザウイルスに感染した患者を検出するためにクラスター化を行った。各院内クラスターの中で同一のウイルスに感染した 2 例目の患者が検出される確率を、流行中の院内株と市中株を併せた多様な遺伝子配列データに基づいて算出した。さらに、すべてのクラスターについて患者間の関連の可能性を解析した。
結果
A(H1N1)pdm09 の 17 の院内クラスターが検出され、流行中の多様な遺伝子配列データに基づく算出により、このうち8クラスターは発生確率が低かった(P < 0.01)。疫学的解析では、これらの 8 クラスターの 4 クラスターから合計 8 件の院内感染が確認され、第 5 のクラスターでは 1 件の母子感染が確認された。発生確率が高い 9 クラスターには、既知の疫学的関連が不明なインフルエンザの市中感染症例が含まれていた。
結論
流行中の遺伝子配列データセットが得られれば、市中で優勢な株とは異なる院内の遺伝子配列クラスターを検出することにより、インフルエンザの院内アウトブレイクが疫学的に疑われる以前に、病院の感染制御専門家が詳細な調査を要するクラスターを選別することが可能となる。
サマリー原文(英語)はこちら

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