手術器具汚染に関連する手術部位感染

2012.08.31

Surgical site infections linked to contaminated surgical instruments


S.J. Dancer*, M. Stewart, C. Coulombe, A. Gregori, M. Virdi
*NHS Lanarkshire, UK
Journal of Hospital Infection (2012) 81, 231-238
背景
本研究は、「清潔」手術後の手術部位感染(SSI)発生率の急上昇に関する調査の報告である。アウトブレイク症例は金属挿入後の整形外科患者 15 例、および眼内炎を発症した眼科患者 5 例であった。
目的
SSI 発生率急上昇の原因を明らかにするため、アウトブレイク委員会を召集した。
方法
調査として疫学的分析、患者分析、病棟・手術室の環境監査および臨床監査を実施した。手術セットの汚染が報告された後、標準化された検査プロトコールを用いて手術器具とその包装の評価を行った。臨床職員による滅菌施設の訪問調査を実施した。
結果
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CoNS)およびバチルス(Bacillus)属菌を含む皮膚細菌叢が様々な患者検体から回収された。11 例の患者は追加的な外科処置が必要であった。包装された手術セットの細菌学的検査により、包装の内側と手術器具自体から CoNS および Bacillus 属菌が検出された。滅菌施設の視察からは、オートクレーブ区域の維持管理が不適切であること、および施設職員の取り扱い操作が不良であることが判明した。これらのことと、手術室職員による手術セットの点検の不備が複合的に生じていた。滅菌施設の作業者の研修、監督、および配置の見直しを行うと同時に、手術室職員による湿潤または変色した手術セットの検査・報告を規則化した後に、症例の発生は終結した。
結論
手術器具を含む手術セットの滅菌後の汚染は、整形外科および眼科の患者の深部 SSI 発生率の上昇と関連していた。この調査により、滅菌業者、病院管理者、および臨床職員の密接な協調・連携が重要であることが示されるとともに、滅菌済み手術器具の汚染リスク低減のための指針が提示された。
サマリー原文(英語)はこちら

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