肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の殺生物剤感受性と cepA、qacΔE、および qacE 排出ポンプ遺伝子および抗菌薬耐性との関連
Klebsiella pneumoniae susceptibility to biocides and its association with cepA, qacΔE and qacE efflux pump genes and antibiotic resistance
A. Abuzaid*, A. Hamouda, S.G.B. Amyes
*University of Edinburgh, UK
Journal of Hospital Infection (2012) 81, 87-91
背景
生体消毒薬は病院で最も広く使用されている抗菌性薬剤の一種であるが、これらの殺生物剤に対する感受性低下、およびその抗菌薬耐性との関連についての情報はほとんどない。
目的
殺生物剤感受性の低下と消毒薬耐性遺伝子(cepA、qacΔE、qacE)の保有との関連を明らかにするとともに、感受性低下に対する排出ポンプの役割を特定すること。
方法
5 種類の殺生物剤(クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、Trigene、MediHex-4、Mediscrub)と 11 種類の抗菌薬について、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)分離株 64 株の感受性を評価した。薬剤感受性の測定はすべて寒天二重希釈法(DDM)で行い、殺生物剤に対する排出ポンプの影響については、さらに排出ポンプ阻害薬カルボニルシアニド m-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)存在下での感受性試験を行うことにより判定した。cepA、qacΔE、および qacE 遺伝子の有無を PCR 法により確認した。
結果
細菌の抗菌薬耐性は全般的には少なかったが、一部はセフォキシチン、クロラムフェニコール、リファンピシン、および新世代のセファロスポリン系(カルバペネム系を除く)に対する感受性低下を示した。二重希釈法試験により殺生物剤感受性の低下を示した株数は、クロルヘキシジン 50 株、Trigene 49 株、および塩化ベンザルコニウム 53 株であった。消毒薬耐性遺伝子が認められた株数は、cepA 56 株、qacΔE 34 株、および qacE 1 株であった。それらの排出ポンプとしての効果を CCCP(10 mg/L)により判定したところ、CCCP の存在により、クロルヘキシジンおよび Medihex-4 の最小発育阻止濃度(MIC)は 2 ~ 128 倍低下したが、塩化ベンザルコニウム、Trigene、および Mediscrub の MIC には影響がなかった。
結論
K. pneumoniae 臨床分離株では、排出ポンプ遺伝子(cepA、qacΔE、qacE)の保有は殺生物剤感受性の低下と密接に関連していたが、抗菌薬耐性とは関連していなかった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
本論文のディスカッションにも述べられているが、消毒薬の使用濃度は MIC よりもはるかに高濃度であり、ここで示されたような耐性が実際に問題となることはあまりないと考えられる。懸念するとすれば、バイオフィルムが形成されているなど他の条件が加わったときであろう。
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