人工関節感染に対する層流の影響:システマティックレビュー
Influence of laminar airflow on prosthetic joint infections: a systematic review
P. Gastmeier*, A.-C. Breier, C. Brandt
*Charité-Universitätsmedizin Berlin, Germany
Journal of Hospital Infection (2012) 81, 73-78
背景
多くの病院は、手術部位感染(SSI)率を低下させるために、層流システム(LAF)とも称される超清浄換気装置(ultraclean ventilation)を手術室で使用している。しかし、これらの装置の効果のエビデンスは限られており、また LAF に要する費用は高額である。
目的
LAF による人工股関節および人工膝関節術後の SSI 率の低下効果を明らかにすること。
方法
過去 10 年間に発表された、人工股関節および人工膝関節術後の SSI に対する LAF による影響を検討しているコホート研究のシステマティックレビューを実施した。
結果
人工膝関節術後の重度の SSI をエンドポイントとしたコホート研究 4 件と人工股関節術後の研究 4 件を対象とした。個々の研究では、人工膝関節術後の LAF に有意な有益性は認められなかったが、1 件の小規模な研究で人工股関節術後に有意な有益性が認められた。しかし、1 件の研究では LAF 条件下の人工膝関節術後の重度 SSI 率が有意に高く、3 件の研究では人工股関節術後の SSI 率が有意に高いことが示された。全体のオッズ比は、人工膝関節では 1.36(95%信頼区間[CI] 1.06 ~ 1.74)、人工股関節では 1.71(95%CI 1.21 ~ 2.41)であった。
結論
LAF を備えた手術室を新たに設置するのは資源の浪費であると考えられるが、既存の手術室の LAF を従来の換気方式に置き換えるべきかどうかについては疑問の余地がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
医療保健施設における環境感染制御のための CDC ガイドライン(2003)では、手術室における感染対策と換気条件のセクションで、「適切に HEPA フィルタを設置すること」はカテゴリ II の勧告であるが、「層流が供給されている手術室で整形外科の人工物を埋め込む手術を実施すること」については、未解決問題とされている。本システマティックレビューでは、2007 年から 2011 年に公表された論文(研究期間は 1999 年から 2008 年)を引用して、整形領域の手術室の換気システムを LAF と従来の HEPA フィルタを用いた方法で SSI の発生率を比較しているが、いまだ解決には至らないようである。
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