新生児集中治療室におけるインフルエンザ A(H1N1)2009 アウトブレイク

2012.05.31

Influenza A/H1N1/2009 outbreak in a neonatal intensive care unit


V. Tsagris*, A. Nika, D. Kyriakou, I. Kapetanakis, E. Harahousou, F. Stripeli, H. Maltezou, M. Tsolia
*National and Kapodistrian University of Athens School of Medicine, ‘P. and A. Kyriakou’ Children’s Hospital, Greece
Journal of Hospital Infection (2012) 81, 36-40
背景
新生児集中治療室(NICU)におけるインフルエンザ A(H1N1)2009 アウトブレイクの報告はわずかである。全医療従事者が季節性インフルエンザワクチン接種を毎年実施することが推奨されているが、接種率は低く、感染した職員への曝露が院内アウトブレイクの発生源となることが報告されている。
目的
極めて高い罹患率がみられた 3 次 NICU におけるインフルエンザ A(H1N1)2009 アウトブレイクについて報告すること。
方法
インフルエンザ初発症例の確認時に、感染拡大を抑制するために NICU 全体で前向き研究を実施し、感染制御対策を実施した。インフルエンザを発症した新生児に対してはオセルタミビルによる治療を実施し、曝露した新生児にはオセルタミビル予防投与を行った。
結果
妊娠期間および出生時体重から未熟児と判定された感染児 2 例が呼吸補助を必要とする肺炎を発症し、3 例目の正期産の新生児 1 例は合併症のない軽度インフルエンザであった。抗ウイルス療法中または予防投与中に、重大な有害事象は認められなかった。調査の結果、感染した医療従事者がアウトブレイク発生源である可能性が判明した。看護職員のインフルエンザワクチン接種率は極めて低く、15%であった。
結論
インフルエンザ院内感染は、特に高リスクの新生児では重篤な疾患に至る可能性があり、ワクチン接種を受けずにインフルエンザに罹患した職員を介して NICU 内で容易に伝播し得る。アウトブレイクの予防には、感染制御対策に加えて医療従事者のワクチン接種が極めて重要である。オセルタミビルによる治療は早産児においても忍容性は良好であり、またインフルエンザに罹患した新生児は完全に回復し、予防投与後にインフルエンザを発症した新生児は 1 例のみであったことから、その効果は高いと考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら

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