ガイドラインの遵守状況による中心静脈カテーテル関連菌血症の転帰:91 件のエピソードの報告★
Outcome of central venous catheter-related bacteraemia according to compliance with guidelines: experience with 91 episodes
C. Wintenberger*, O. Epaulard, V. Hincky-Vitrat, J.P. Brion, C. Recule, P. François, J.P. Stahl, P. Pavese
*Grenoble University Hospital, France
Journal of Hospital Infection (2012) 80, 245-251
背景
感染は、中心静脈カテーテル(CVC)の使用に関連する主要な合併症である。カテーテル関連菌血症の医学的管理についてのガイドラインが公表されているが、医師の診療行為の適切性を評価する研究は行われていない。
目的
大学病院における CVC 関連菌血症症例に対する診療行為を評価すること。
方法
12 か月間にわたって症例を記録し、その管理について評価した。CVC から採取した血液の培養陽性全症例を解析対象とし、この患者集団の CVC 関連菌血症エピソードを特定した。医学的管理および患者の転帰を 2 名の医師が独立評価した。
結果
血液培養陽性の合計 187 症例を記録し、CVC 関連菌血症の 91 症例を解析した。エピソードの 56%で適切な全身抗菌薬治療が実施されていた。51 件のエピソードでカテーテル抜去を行い、このうち 29 件はガイドラインに沿って実施されたが、20 件のエピソードでは抗菌薬ロック療法が実施されていなかった。全体的な医学的管理はエピソードの 41.8%で適切であった。全治癒率は 72.5%であった。CVC 関連菌血症関連死は、エピソードの 5.5%であった。治癒と関連していたのは、ガイドラインの遵守(P = 0.03)および適切な全身抗菌薬治療(P < 0.01)であった。保存的治療の成功は、適応に関するガイドラインの遵守(P = 0.01)と関連していた。
結論
CVC 関連菌血症の医学的管理は、国際的なガイドラインを厳格に遵守したものではなかった。CVC 関連菌血症の転帰は、特に保存的治療を試行した場合は、医学的管理の適切性と関連していた。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
テーテル関連菌血症発症後の対応による予後の違いについては十分な検討がされていない。カテーテル関連菌血症の医学的管理については、適切な検査実施や診断基準が課題となる。次に、菌種別に層別化して予後統計をとる必要もある。
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