アイルランドの長期療養型施設における医療関連感染:First National Prevalence Study の結果
Healthcare-associated infection in Irish long-term care facilities: results from the First National Prevalence Study
M. Cotter*, S. Donlon, F. Roche, H. Byrne, F. Fitzpatrick
*Beaumont Hospital, Ireland
Journal of Hospital Infection (2012) 80, 212-216
背景
アイルランドの長期療養型施設を対象とした医療関連感染症(HCAI)有病率および抗菌薬使用に関する調査は実施されていない。
目的
長期療養型施設に関する国の方針のための情報を提供し、将来的に HCAI 予防プログラムを立案することを目的として、アイルランドの長期療養型施設における HCAI 有病率および抗菌薬使用に関するベースラインデータを収集すること。
方法
アイルランドの長期療養型施設を対象として、HCAI 有病率および抗菌薬使用に関する調査を実施した。調査への参加は任意とした。HCAI のリスク因子、感染の徴候・症状、および抗菌薬使用に関する各施設の 1 日間のデータを前向きに収集した。
結果
アイルランドの 69 の長期療養型施設が参加し、適格入所者 4,170 例を調査対象とした。このうち 472 例(11.3%)は感染の徴候・症状があるか(266 例、6.4%)、抗菌薬投与を受けていた(426 例、10.2%)。入所者の 3 分の 1(1,430 例、34.3%)は 85 歳以上であり、見当識障害(2,110 例、50.6%)および歩行障害(2,101 例、50.4%)が半数以上に認められた。HCAI 有病率は 3.7%(範囲 0% ~ 22.2%)であった。最も高頻度にみられた HCAI は尿路感染症であった(入所者 62 例、HCAI の 40%)。尿道カテーテル留置は尿路感染症と関連していた(P < 0.0000001)。抗菌薬が感染症の治療(262 例、57.8%)と予防(182 例、40.2%)のために処方されていた。予防投与の適応症として最も頻度の高いものは尿路感染症であった(全処方の 35.8%)。尿路感染症の予防投与を受けた入所者のうち 14 例(10.2%)は尿道カテーテルを留置していた。治療のための投与の適応症として最も頻度の高いものは気道感染症(35.1%)、尿路感染症(32.1%)、および皮膚感染症(21.8%)であった。
結論
本研究により抗菌薬の予防処方の頻度が明らかになるとともに、将来的な予防戦略の立案のための重要なベースラインデータが得られた。
サマリー原文(英語)はこちら
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