人員不足、過密状態、不適切な看護師-人工呼吸器装着患者比、および院内感染:どのパラメータが問題点を最も反映しているか?★
Understaffing, overcrowding, inappropriate nurse:ventilated patient ratio and nosocomial infections: which parameter is the best reflection of deficits?
F. Schwab*, E. Meyer, C. Geffers, P. Gastmeier
*Charité - University Medicine Berlin, Germany
Journal of Hospital Infection (2012) 80, 133-139
背景
稼働率が高く処置数が多い医療施設では過密状態(病床利用率が高い状態)や人員不足(看護師-患者比が低い状態)が断続的に発生し、院内感染のリスク因子となることが多くの報告で指摘されている。
目的
集中治療室(ICU)182 室を対象として、病床利用率(患者-病床比)、看護師-患者比、看護師-人工呼吸装着患者比が、院内血流感染症(BSI)および院内肺炎に及ぼす影響を調査した。
方法
各 ICU が、2007 年の器材使用および院内器材関連感染に関する毎月のデータを、院内感染に関するドイツの全国的病院サーベイランスシステムに報告した。質問票を用いて 2007 年の 24 時間あたりの病棟の医療従事者数、および建築構造的パラメータ(ICU や病院のタイプや規模)に関する情報を収集した。一般化推定方程式モデルを用い、病床利用率または人員配置パラメータと、毎月の院内感染発生数との関連を分析した。
結果
合計で、サーベイランス実施期間 1,921 か月、563,177 患者日の間に ICU 182 室から肺炎 1,313 例、BSI 513 例が報告された。院内感染が少ないことは、看護師-人工呼吸器装着患者比が高いことと関連していた(看護師-人工呼吸器装着患者比 > 75 パーセンタイルの月を ≦ 25 パーセンタイルの月と比較した場合の補正発生率比 0.42[95%信頼区間 0.32 ~ 0.55])。興味深いことに、看護師-患者比は、BSI および肺炎の発生についての有意なパラメータではなかった。病床利用率が高いこと(> 75 パーセンタイル)は、院内感染が少ないことと関連していた。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
ドイツの院内感染サーベイランスシステム(Krankenhaus Infektions Surveillance System;KISS)は、ICU、NICU におけるデバイス関連と手術後の SSI を対象としている。この KISS に参加している ICU を対象に行われた調査は、看護師-人工呼吸器装着患者比がより患者の重症度をよく反映しており、多施設で比較する際の ICU における院内感染のパラメータとして有用であるという結果を示した。
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