長期療養型施設から病院への入院および病院から長期療養型施設への退院は病院のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染率に影響を及ぼすか?

2012.02.28

Do admissions and discharges to long-term care facilities influence hospital burden of Clostridium difficile infection?


R. Ricciardi*, J. Nelson, J.L. Griffith, T.W. Concannon
*Lahey Clinic, USA
Journal of Hospital Infection (2012) 80, 156-161
背景
米国の病院におけるクロストリジウム・ディフィシル感染症(Clostridium difficile infection;CDI)アウトブレイクには、大規模な地理的集積性がみられることが報告されている。
目的
病院の CDI 感染率は、長期療養型施設から病院への入院、および病院から長期療養型施設への退院が関連するという仮説を検証すること。
方法
米国 19 州の退院データを利用して、2002 年 1 月 1 日から 2004 年 12 月 31 日に退院し、CDI と診断された全患者を特定した。各病院ごとに、全退院患者中の CDI と診断された患者の割合を算出し、90 パーセンタイルを超える病院を「高 CDI」病院に分類した。病院の CDI 感染率と、長期療養型施設からの入院患者および長期療養型施設への退院患者の割合との関連を検証した。その他の病院特性、疾患重症度、および地域住民の特性による補正を行った。
結果
3 年間の試験期間中に 38,372,951 例の退院が特定された。全退院のうち 274,311 例(0.71%)が CDI の一次診断または二次診断を受けていた。全病院の平均 CDI 感染率は退院 1,000 例中 7.8 例であった。高 CDI 病院(610 施設、10.0%)の平均 CDI 感染率は退院 1,000 例中 34.8 例であった。高 CDI 病院は、その他の病院と比較して長期療養型施設への退院および長期療養型施設からの入院の割合が高かった。その他の病院特性、疾患重症度、地域住民の特性で補正後も、同様の関連が認められた。
結論
長期療養型施設からの入院および長期療養型施設への転院の割合が高いことは、病院の CDI 感染率が高いことと関連する。
サマリー原文(英語)はこちら

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