変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の感染性不活化に対する蒸気滅菌の効果はわずかである
Limited efficacy of steam sterilization to inactivate vCJD infectivity
K. Fernie*, S. Hamilton, R.A. Somerville
*University of Edinburgh, Easter Bush, UK
Journal of Hospital Infection (2012) 80, 46-51
背景
プリオンとして知られる伝達性海綿状脳症(TSE)の原因物質は、一般的な滅菌方法、特に蒸気滅菌(すなわちオートクレーブ)に抵抗性を示すことから、牛海綿状脳症(BSE)がヒトに伝播して変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)を引き起こすことは、二次感染への懸念を招いている。手術器具やその他の医療器材には、洗浄・蒸気滅菌後も、次に使用する患者への感染性を有する感染組織が付着している可能性が指摘されている。
目的
vCJD に対する蒸気滅菌の効果はないという懸念が妥当であるかどうかを明らかにすること。
方法
vCJD の脳マセレート※を英国の病院に推奨されているオートクレーブの標準温度・時間(134 ~ 137℃、3 分)で蒸気滅菌し、感染性の低下レベルを測定した。
結果
102.3 から 103.6 ID50 を超える力価の減少が認められた。4 サンプル中 3 サンプルは、蒸気滅菌後も感染性を有していた。
結論
既報と同様に、BSE 由来 TSE 株の蒸気滅菌やその他の熱不活化に対する抵抗性は、その他の TSE 株よりも強いと考えられた。
監訳者コメント:
やはりといったところだろうか。vCJD のやっかいさは噂通りである。
監訳者注:
※脳マセレート(brain macerate):脳組織を水分などを加えずにすりつぶして試験材料としたもの。
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