メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の過酸化水素蒸気抵抗性は市販のゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)のバイオロジカルインジケータよりも強い★★
Meticillin-resistant Staphylococcus aureus is more resistant to vaporized hydrogen peroxide than commercial Geobacillus stearothermophilus biological indicators
T. Pottage*, S. Macken, J.T. Walker, A.M. Bennett
*Health Protection Agency, Microbiology Services, Porton Down, UK
Journal of Hospital Infection (2012) 80, 41-45
背景
病院の隔離室の汚染除去に過酸化水素蒸気(VHP)が使用されることが多くなっている。汚染除去の有効性を評価するために、市販のバイオロジカルインジケータが使用されており、最も一般的なものはゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)芽胞である。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)などの黄色ブドウ球菌はカタラーゼを産生して VHP を分解するため、汚染除去に対して抵抗性となっている可能性がある。
目的
本研究のデザインは、MRSA の VHP 抵抗性を、市販の芽胞のバイオロジカルインジケータと比較評価することを目的とした。
方法
MRSA(NCTC 13142)を市販のG. stearothermophilus(ATCC 7953)のインジケータ(芽胞約 3.1 × 106 個)と同じ負荷量に調製してステンレススチールの試験片に接種し、それぞれの試験片を VHP サイクル(750 ppm)に曝露した。曝露中の所定の時点で各細菌を含む試験片を取り出し、処理と計数を行い、生残数を比較した。
結果
曝露後に試験片から回収された MRSA 数は G. stearothermophilus 芽胞と比較して 1.5 ~ 3.5 log10 多かった(P < 0.05)。このような強い抵抗性は、過酸化水素を分解するカタラーゼを産生することにより、VHP 効果が低下したためと考えられる。
結論
これらの結果は、市販のバイオロジカルインジケータで達成された減少が必ずしも他の微生物に当てはまらないことを示している。気体による汚染除去は汚染除去プロセスの最終段階であり、曝露した微生物の負荷を減少させるためには事前に表面の清掃を実施すべきであることを認識する必要がある。
監訳者コメント:
カタラーゼを産生して VHP を分解するため、汚染除去に対して抵抗性となっている可能性があるとは、何とも意外な推論である。そうなると殺菌効果については主要病原菌を対象に幅広く検定する必要がある。
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