南アフリカの農村地域における結核感染制御:病院職員の知識、姿勢、および実践に関する調査
Tuberculosis infection control in rural South Africa: survey of knowledge, attitude and practice in hospital staff
Z. Kanjee*, K. Catterick, A.P. Moll, K.R. Amico, G.H. Friedland
*Yale University School of Medicine, USA
Journal of Hospital Infection (2011) 79, 333-338
南アフリカの資源が乏しい農村地域にある、多剤耐性・広範囲薬剤耐性結核の院内伝播が報告された病院の職員を対象として、結核感染制御に対する知識、姿勢、およ実践に関するベースライン評価を実施した。多剤耐性・広範囲薬剤耐性結核が報告された直後の 2007 年 7 月から 9 月に、無記名の質問票および直接観察による評価を行った。57 名からの質問票および 10 時間の直接観察によりデータを得た。概して、知識と姿勢は結核感染制御の推進に肯定的なものであったが、職員の 49.1%は職員に対する病院の配慮が欠けている、または病院は職員の結核感染予防に尽力していないと感じており、また 42.9%は職員が結核、多剤耐性結核、または広範囲薬剤耐性結核により死亡しているため医療従事者としての仕事の継続に消極的であった。実践については多様であった。感染制御担当者が最近任命されていることや自然換気の実施状況は長所として挙げられるが、施設には結核感染制御に関する方針がなく、患者の結核スクリーニングプロセスは不十分であり、回答者の 41.5%は自身のヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染状況を認識していなかった。回答者は結核感染制御を推進するうえでの障壁として、職員の健康情報の機密性、結核および HIV に対する偏見、不十分な資源、および患者の治療不遵守などの多くの懸念事項を報告した。職員の知識、姿勢、および実践を評価することは、結核感染制御における欠点および障壁に関する有用なデータをもたらし、またその後の感染制御策に注力するうえで有用であった。結核の院内伝播の減少が極めて重要であることを考慮すると、施設は結核感染制御の簡易な評価を実施し、職員の健康情報の機密性を確保し、結核や HIV に対する偏見の解消を図り、結核感染制御設備と行動様式変革のための介入を多角的に導入すべきことが推奨される。行動科学的手法によって、結核感染制御の研究と推進が改善すると考えられる。
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