イタリアの 3 次紹介病院の集中治療室における多剤耐性アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)の逐次的アウトブレイク:疫学調査のための複合的な分子的アプローチ

2011.10.30

Sequential outbreaks of multidrug-resistant Acinetobacter baumannii in intensive care units of a tertiary referral hospital in Italy: combined molecular approach for epidemiological investigation


F. Ansaldi*, P. Canepa, M. Bassetti, M. Zancolli, M.P. Molinari, A. Talamini, F. Ginocchio, P. Durando, M. Mussap, G. Orengo, C. Viscoli, G. Icardi
*University of Genoa, Italy
Journal of Hospital Infection (2011) 79, 134-140
2007 年 1 月から 2010 年 5 月に、イタリア、ジェノヴァの 3 次病院である San Martino Hospital で臨床検査に基づくサーベイランス研究を実施し、5 か所の集中治療室(ICU)で多剤耐性アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)の分子疫学を調べた。合計 53 株の A. baumannii を ICU 入室患者(69.8%)および疫学的に関連のあるその他の病棟の入院患者(30.2%)から分離し、repetitive extragenic palindromic PCR(REP-PCR)法、複数部位塩基配列タイピング(MLST)、および adeB 遺伝子配列タイピングにより遺伝子型を決定した。REP-PCR フィンガープリント解析、MLST、および adeB タイピングの結果には強い関連が認められ、流行の原因となった菌株を以下の 3 つの主要な流行型クローンに分類することができた。2007 年 5 月に初めて分離されたクローン A(REP-I/ST4、adeB-STII 遺伝子型)、2007 年 11 月から 2009 年 5 月に分離されたクローン B(REP-IV/ST95、adeB-STI 遺伝子型)、2008 年 7 月から 2010 年 5 月に分離されたクローン C(REP-VII/ST118、adeB-STII 遺伝子型)。MLST の結果から、流行型クローン A と C は広く蔓延するクローン複合体 CC92 に属し、関連があることが示された。カルバペネム耐性の遺伝的決定因子を調査したところ、クローン A では blaOxA-58-like遺伝子とこれに隣接する ISAba2 および ISAba3 エレメントの存在、クローン B と C では blaOxA-23-like 遺伝子とこれに隣接する ISAba1 エレメントの存在が、耐性と関連していた。分子的アプローチにより感染制御対策の迅速な導入が可能となり、広範な疫学的背景に基づくデータの評価を行うことができた。

サマリー原文(英語)はこちら

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