入院患者における広範囲薬剤耐性緑膿菌(extensive drug-resistant Pseudomonas aeruginosa)感染:そのリスク因子およびカルバペネム耐性機序

2011.09.30

Acquisition of extensive drug-resistant Pseudomonas aeruginosa among hospitalized patients: risk factors and resistance mechanisms to carbapenems


Y.S. Park*, H. Lee, B.S. Chin, S.H. Han, S.G. Hong, S.K. Hong, H.Y. Kim, Y. Uh, H.B. Shin, E.J. Choo, S.-H. Han, W. Song, S.H. Jeong, K. Lee, J.M. Kim
*Gachon University Gil Hospital, Republic of Korea
Journal of Hospital Infection (2011) 79, 54-58
近年、緑膿菌に有効なすべての抗菌薬に耐性を示す広範囲薬剤耐性緑膿菌(extensive drug-resistant Pseudomonas aeruginosa;XDRPA)株が報告されている。本研究の目的は、患者の XDRPA 獲得のリスク因子、およびカルバペネム耐性の機序について調査することである。2007 年 6 月から 11 月に、3 次ケア病院 8 施設の患者から XDRPA 分離株を採取した。症例対照研究を実施し、XDRPA 獲得に関連する因子を特定した。EDTA-イミペネム disc synergy test、PCR 法、およびシークエンシング法を用いてメタロ-β-ラクタマーゼの検出を行った。患者 33 例を対象としてリスク因子解析を行った。人工呼吸器装着(オッズ比[OR] 8.2、95%信頼区間[CI] 1.3 ~ 52.2、P = 0.026)および APACHE II スコア(OR 1.2、95%CI 1.0 ~ 1.3、P = 0.007)が、XDRPA 獲得の独立したリスク因子として特定された。XDRPA のパルスフィールド・ゲル電気泳動法(PFGE)により、流行性クローン株と同時に散発性株が特定された。XDRPA 分離株 43 株中 8 株(19%)はメタロ-β-ラクタマーゼ産生株、4 株は VIM-2 産生株、4 株は IMP-6 産生株であることが示された。本研究から、人工呼吸器装着が XDRPA 獲得に重要な役割を果たしていることが示唆された。また、PFGE により、病院内に流行性クローン株が存在することが確認された。まとめとして、これらの結果から、韓国では XDRPA 獲得には患者から患者への伝播が寄与していることが示唆された。

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