香港のパンデミックインフルエンザ A(H1N1)2009 の第 1 波後の医療従事者の抗体保有状況
Seroprevalence of antibody to pandemic influenza A (H1N1) 2009 among healthcare workers after the first wave in Hong Kong
Y. Zhoua*, D.M.W. Ng , W.-H. Seto, D.K.M. Ip, H.K.H. Kwok, E.S.K. Ma, S. Na, L.L.H. Lau,
J.T. Wu, J.S.M. Peiris, B.J. Cowling
*The University of Hong Kong, Hong Kong Special Administrative Region, China
Journal of Hospital Infection (2011) 78, 308-311
インフルエンザパンデミックの第 1 波では有効なワクチンが利用可能になっていないため、医療従事者が新型インフルエンザウイルスに感染するリスクは特に高いと考えられる。パンデミックインフルエンザ A(H1N1)2009(pH1N1)第 1 波後の 2010 年 2 月から 3 月における香港の医療従事者の抗体保有状況について、横断研究を実施した。医療従事者から血清を採取し、ウイルス中和試験による抗 pH1N1 インフルエンザウイルス抗体の検査を行った。抗体価高値に関連する因子を評価するとともに、医療従事者の抗体価を他の地域住民対象研究から得られた抗体価と比較した。合計 703 名の医療従事者を登録した。pH1N1 ワクチン接種を受けていないと申告した医療従事者 599 名のうち、12%はウイルス中和試験による抗体価が 1:40 以上であった。抗体価 1:40 以上のワクチン未接種の医療従事者の割合を年齢別にみたところ、pH1N1 第 1 波後の一般住民と比較して有意な相違はなかった。感染制御ガイドラインの遵守が良好であれば、医療従事者の pH1N1 感染リスクが職業曝露により大幅に上昇することはないと考えられた。パンデミック第 1 波後の医療従事者の多くは、抗体価が低値であった。
監訳者コメント:
インフルエンザに対する職業曝露による感染のリスクを低減させる方法は、ワクチン接種と、経路別予防策や咳エチケットなどの感染予防策である。本論文は、特にワクチンが利用可能でない新型インフルエンザの流行初期における後者の重要性を示したものであるが、基本的なインフルエンザ対策としては双方が重要であることはいうまでもない。
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