結腸直腸手術時の感染の減少を目的としたケアのバンドル:オーストラリアでの経験
A bundle of care to reduce colorectal surgical infections: an Australian experience
A. Bull*, J. Wilson, L.J. Worth, R.L. Stuart, E. Gillespie, B. Waxman, W. Shearer, M. Richards
*Victorian Healthcare Associated Surveillance System Coordinating Centre, Australia
Journal of Hospital Infection (2011) 78, 297-301
患者の転帰を改善するために「ケアのバンドル」は広く使用されるようになってきたが、その世界的にみた使用頻度はオーストラリアよりも高い。本研究の目的は、結腸直腸手術を施行した患者を対象として、手術部位感染の減少を目的としたケアのバンドルの臨床適用可能性を評価することである。バンドルの各構成要素はエビデンスに基づき、正常体温、正常血糖値、酸素供給量、および適切な抗菌薬使用に焦点を当てたものであった。バンドルの実施に当たっては綿密な面接と教育を必須とし、各患者用のチェックリストにプロセスの遵守とアウトカムの達成について記録した。プロセスの遵守達成は困難であったが、一部に改善がみられた。加温器具の使用は、正常体温維持の改善と関連していた。感染率はプロジェクト実施前の 15%(95%信頼区間[CI]10.4% ~ 20.2%)からプロジェクトの 12 か月後は 7%(95%CI 3.4% ~ 12.6%)に低下した。標本サイズが小さいため明確な結論を下すことは困難であるが、これらの結果は有望なものであった。ケアのバンドルの個々の構成要素の遵守率が低かった理由について考察を行った。結論として、オーストラリアの単一の病院で結腸直腸手術を施行した患者に対してケアのバンドルを導入したところ、効果はわずかであった。しかし、感染率はバンドル導入後の 12 か月間にわたって低下した。
監訳者コメント:
すでにその有効性が明確である介入を「束」(バンドル)にして確実に実施する手法をバンドルと呼び、近年その有効性が注目されている。本論文はまだバンドルがあまり普及していないオーストラリアからの成功事例の報告である。日本においては、すでにクリティカルパスの形でバンドルが実施されている施設も少なくないが、両者の基本的な考え方は相通じるものがある。
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