新生児集中治療室におけるグラム陰性菌による遅発性敗血症の予測のための粘膜の監視培養★
Mucosal surveillance cultures in predicting Gram-negative late-onset sepsis in neonatal intensive care units
U. Parm*, T. Metsvaht, E. Sepp, M.-L. Ilmoja, H. Pisarev, M. Pauskar, I. Lutsar
*University of Tartu, Estonia
Journal of Hospital Infection (2011) 78, 327-332
本研究の目的は、腸内および鼻咽頭に保菌するグラム陰性菌のスペクトルと経時変化を調査すること、および新生児集中治療室に入室した新生児における遅発性敗血症の予測のための監視培養の有用性を明らかにすることである。出生後 72 時間以内に入室した早発性敗血症のリスク因子を有する新生児 278 例を対象として、入室時および入室後は週 2 回、鼻咽頭および直腸スワブを採取した。通常は無菌である体液の培養を、入室時および入室後は臨床的状態に応じて実施した。グラム陰性菌培養陽性の割合は、直腸検体(693/1,250、55%)および鼻咽頭検体(558/1,153、48%)のいずれも約半数であったが、無菌体液検体では 6%(32/555)のみであった。合計 2,108 組の侵襲的検体と粘膜検体の培養のペアを解析した。遅発性敗血症の予測のための粘膜検体の感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率はそれぞれ 27%、66%、4%、94%であった。肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)(P = 0.011)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)(P = 0.002)、大腸菌(Escherichia coli)(P = 0.003)、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)属菌(P = 0.003)、およびシュードモナス(Pseudomonas)属菌(P ≦ 0.001)をすでに保菌している患児では、遅発性敗血症の発症リスクが高かった。このような関連はアシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)、セラチア(Serratia)属菌、またはエンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)では認められなかった。結論として、定期的な粘膜検体の培養は、新生児集中治療室におけるグラム陰性菌による遅発性敗血症の予測には有効ではない。しかし、アウトブレイク時のクレブシエラ(Klebsiella)属菌、大腸菌、Stenotrophomonas 属菌、Pseudomonas 属菌などの特定の菌種のスクリーニングにより、感染制御方法が改善され、適切な抗菌薬療法の適時の開始が可能になると考えられる。
監訳者コメント:
新生児は細菌叢の形成が未完成であり、小児や成人が通常もっている細菌であっても児自身の感染のリスクとなり得る。保菌の有無を調べるための監視培養の新生児における有用性については十分に検討されていない。本論文がその知見の 1 つとなり得る。すなわち、特定の菌が検出された場合に限って、その児自身の発症リスクおよび周辺への伝播リスクを下げる方策をとることができ、費用対効果的である。
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