感染症の疑いのために内科入院病棟または集中治療室に入院中の患者に対するプロカルシトニン検査による抗菌薬使用量の減少★★

2011.08.30

Reduction in antibiotic use through procalcitonin testing in patients in the medical admission unit or intensive care unit with suspicion of infection


K. Saeed*, M. Dryden, S. Bourne, C. Paget, A. Proud
*Royal Hampshire County Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2011) 78, 289-292
臨床的に感染症が疑われるが診断が確定していない患者に対する抗菌薬の開始または見送り(withhold)の判断を支援する追加的診断ツールとして、血清プロカルシトニン値測定についての評価を報告する。6 か月の試験期間中に、血清プロカルシトニン検査依頼後 90 分以内に測定結果が得られた患者数は、感染症が疑われる内科入院病棟の患者 99 例、新規感染症の可能性を示唆する臨床的徴候または生理学的パラメータが認められる集中治療室(ICU)の患者 42 例であった。微生物検査・感染症チームが抗菌薬投与の判断を行う臨床コンサルテーション中に血清プロカルシトニン検査を開始させた。プロカルシトニン低値に基づいて抗菌薬投与を見送った件数は、内科入院病棟 52 件、ICU 42 件であった。患者を前向きに 1 週間追跡調査した。内科入院病棟または ICU で抗菌薬投与を見送り・中止とした患者の中で、抗菌薬投与を必要とする細菌感染症の増悪、または合併症・感染症関連死はみられなかった。プロカルシトニン検査を実施しない場合は、これらの全患者に対して経験的抗菌薬投与が行われていた可能性が高い。これらの患者では不必要な抗菌薬投与が有害な影響を認めることなく減少し、抗菌薬処方件数が顕著に減少するとともにコスト削減も示唆された。プロカルシトニン検査は、抗菌薬管理の有用なツールとなり得る。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

ここ 2、3 年、注目を浴びているプロカルシトニン検査に関する論文である。プロカルシトニン検査の有用性に関する結果が非常に明確でわかりやすい。プロカルシトニンは、陰性結果により細菌感染症をほぼ否定することができる。不要な抗菌薬の投与を避けることができ、菌交代による Clostridium difficile 腸炎や耐性菌の出現を抑えることができる。また、感染症の治療中の投薬終了の判断にも用いることができる。本検査は非常に有用であるが、多くの施設ではまだ院外検査に頼っているのも事実である。院内検査により迅速に結果を臨床にフィードバックすることで、初めて本検査が活用されると考え、今後の普及および院内での検査実施が期待される。

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