フルオロキノロン系処方指針の全病院レベルでの変更とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)発生率:10 年間の分割時系列分析
Hospital-wide modification of fluoroquinolone policy and meticillin-resistant Staphylococcus aureus rates: a 10-year interrupted time-series analysis
J.-J. Parienti*, V. Cattoir, P. Thibon, G. Lebouvier, R. Verdon, C. Daubin, D. du Cheyron, R. Leclercq, P. Charbonneau
*CHU de Caen, France
Journal of Hospital Infection (2011) 78, 118-122
著者らの 3 次大学病院で 2001 年にフルオロキノロン系の使用を禁止したところ、使用量は 90%減少した。本研究の目的は、フルオロキノロン系再導入後のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の傾向を評価することである。フルオロキノロン系使用規制期間(2001 年 1 月から 2002 年 1 月、第 1 期)、規制前のフルオロキノロン系使用量に到達するまでの期間(2002 年 1 月から 2004 年 12 月、第 2 期)、および擦式アルコール製剤を用いた手指衛生キャンペーン実施期間を含む観察期間(2005 年 1 月から 2009 年 6 月、第 3 期)に、MRSA を月 1 回調査する 10 年間の時系列分析を実施した。区分線形自己回帰分析を用いて、近接する期間の間にみられる傾向を評価した。フルオロキノロン系使用量を 1 日規定用量(DDD)で表すと 2001 年は 1,000 患者日あたり 5.2 DDD であったが、2005 年に 1,000 患者日あたり 56.6 DDD まで増加して規制前のフルオロキノロン系使用量に到達し(P < 0.001)、2005 年から 2010 年の間は安定していた(P = 0.65)。フルオロキノロン系の使用を規制していた第1期中に、月ごとの MRSA 陽性率は低下した(-0.49%/月、P < 0.05)。フルオロキノロン系の再導入期間である第 2 期は、第 1 期と比較して MRSA 陽性率が有意に上昇した(+0.68%/月、P < 0.02)。第 3 期は、第 2 期と比較して MRSA 陽性率の有意な低下が認められた(-0.32%/月、P < 0.001;第 2 期直後の低下は -5.9%、P < 0.002)。第 3 期中に手指衛生が推進され、擦式アルコール製剤の使用量が 2005 年の 3,411 L から 2009 年には 14,599 L に増加した。本研究は、MRSA の制御を目的とした全病院的なフルオロキノロン系の処方方針の理論的根拠を強固なものにするとともに、この方針には手指衛生推進との相加作用があることを示唆している。
サマリー原文(英語)はこちら
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