臨床的に重要な皮膚部位の好気性菌密度に関連する因子の特定
Identification of variables for aerobic bacterial density at clinically relevant skin sites
M. Reichel*, P. Heisig, G. Kampf
*Bode Chemie GmbH, Germany
Journal of Hospital Infection (2011) 78, 5-10
局所抗菌薬の効果を評価する試験では、検査部位の無作為化および男女比の調整が常に実施されているわけではない。本研究の目的は、文献のシステマティックレビューによりエビデンスに基づく皮膚細菌叢マップを作製するとともに in vivo 試験により細菌密度に影響を及ぼす因子を特定することである。評価対象とした 83 試験中 10 試験のレビューを実施した。細菌密度は、皮脂が多く湿潤な皮膚部位でより高かった。In vivo 試験では、180 例の前頭部、上背部、腰部、および腹部からの試料を標準的なスワブ法により採取した。好気性菌密度は前頭部で最も高く(平均 log10 cfu/cm2 = 3.69 ± 1.00)、次いで上背部(3.00 ± 0.90)、腹部(2.98 ± 0.74)、腰部(2.35 ± 0.70)であった。全 4 か所の皮膚部位間には有意差が認められた(P < 0.001、分散分析)。前頭部では、内側部の細菌密度のほうが外側部と比較して有意に高く(P = 0.002、t 検定)、上背部では、頭側のほうが尾側と比較して高かった(P = 0.006)。すべての部位で男性のほうが細菌密度が有意に高かった(P < 0.001)。検査部位の無作為化を行うことは、皮膚細菌叢密度や皮膚消毒薬の効果に関する試験によって典型的な結果を得るために不可欠である。試験集団の男女比の調整を図ることも強く推奨される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
本研究は、健康保菌のバックグラウンドとして重要である。すべての部位で男性のほうが細菌密度が有意に高かった理由はわからないが、興味深い。常在菌叢は年齢や性別や部位によりそのポピュレーションが多少異なる。
同カテゴリの記事
Community-associated meticillin-resistant Staphylococcus aureus: epidemiology, microbiology and clinical impact in East Yorkshire, UK
A prototype catheter designed for ultraviolet C disinfection
Admission prevalence and acquisition of nasal carriage of meticillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) in German rehabilitation centres
Prevalence of bacterial burden on macroscopic contaminants of orthopaedic surgical instruments following sterilization I.J. Wellington*, T.J. Schneider, B.C. Hawthorne, M.B. McCarthy, J.W. Stelzer, J.P. Connors, C. Dorsey, V. Williams, A. Lindsay, O. Solovyova *University of Connecticut, USA Journal of Hospital Infection (2022) 130, 52-55
