新生児院内感染症の追跡:継続的な質改善サイクル★★
Tracking neonatal nosocomial infection: the continuous quality improvement cycle
A.W. Gill*, A.D. Keil, C. Jones, L. Aydon, S. Biggs
*King Edward Memorial Hospital, Australia
Journal of Hospital Infection (2011) 78, 20-25
新生児院内感染症(NNI)は新生児ケアに際して発生する重大な合併症であり、死亡率、有病率、および医療費の上昇の原因となる。NNI の管理法としては、ケアの詳細に注意を払うこと、新生児室のカルチャーの改革、および継続的な質改善サイクルの実施などが挙げられる。本稿では、質改善チームの活動開始、および感染制御バンドルの実施状況について報告する。単一の大規模周産期医療施設を 7 年間にわたって研究対象とした。管理図法を用いて、超早産児の NNI を統計学的に追跡した。在胎期間 29 週未満の乳児では、NNI 発生率が 1,000 床・日あたり 13 件から 7 件に一貫して、かつ統計学的に有意に減少したことが記録された(35 日目に観察打ち切りとした)。多職種からなる質改善チームが、新生児室の NNI 減少のためにデザインされた対策の実行を運営した。これらの対策は、無菌操作法の必要性に関する認識向上、手指衛生の改善、中心静脈ライン使用時の注意の強化、血液培養用検体採取技術のモニタリング、および環境改善などであった。これらの対策に加えて、管理図から正のフィードバックが得られたことが、NNI の一貫した減少に寄与したと考えられる。本研究は、質改善のループが完結し、特異的なケアバンドル導入による NNI の統計学的改善が示された、初の研究の 1 つである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
新生児医療は特殊領域であり、特有のエビデンスを必要としている。こうした先進的な取り組みには拍手を送りたい。我が国でも「NICUにおける医療関連感染予防のためのハンドブック、第 1 版」が公開されている。
http://www.nih.go.jp/niid/bac2/janis/file/nicu_handbook_ver1.pdf
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