血管カテーテル先端部の選択的培養とルーチン培養との比較の前向き無作為化研究:患者の転帰、抗菌薬の使用、および微生物学的検査の作業負担

2011.04.01

Prospective, randomised study of selective versus routine culture of vascular catheter tips: patient outcome, antibiotic use and laboratory workload


A. Perez-Parra*, M. Guembe, P. Martin-Rabadan, P. Munoz, A. Fernandez-Cruz, E. Bouza
*Hospital General Universitario Gregorio Maranon, Spain
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 309-315
血液培養陰性患者における血管カテーテル先端部の培養の意義を評価するため、入院患者から得たすべての先端部試料を、カテーテルの 2 種類のルーチン処理法に前向きに無作為割り付けし(1:1)、すべての患者の先端部を培養する群(ルーチン A 法)と菌血症または真菌血症を併発する患者の先端部のみを培養する群(ルーチン B 法)とを比較した。9 か月にわたり、ルーチン A 群には患者 318 例から得たカテーテル 426 本を、ルーチン B 群には322 例から得た 429 本を無作為に割り付けた(合計 640 例)。転帰およびコストを両群で比較した。人口統計学的データ、死亡率、入院期間、または抗菌薬の使用には、統計学的有意差はみられなかった。非菌血症/真菌血症患者(517 例)でのカテーテル抜去後の抗菌薬治療日数は、A 群(中央値 10.0 日、四分位範囲[IQR]6.0 ~ 14.0)のほうが B 群(8.0 日、IQR 4.7 ~ 12.2)よりも有意に長かった(P = 0.03)。抗菌薬の 1 日規定用量(DDD)は、A 群 10.8 DDD(IQR 2.4 ~ 26.9)、B 群 7.5 DDD(IQR 1.5 ~ 20.0)であった(P = 0.03)。治療を受けた患者 1 例あたりの抗菌薬の費用中央値は、A 群(222.30 ユーロ、IQR 20.30 ~ 1,030.60 ユーロ)のほうが B 群(109.10 ユーロ、IQR 10.90 ~ 653.20 ユーロ)よりも有意に高かった(P = 0.05)。すべての患者の血管カテーテル先端部をルーチン B 法で処理した場合の微生物学的検査による作業負担は、77%に減少すると考えられた。菌血症または真菌血症ではない患者に対しては、すべてのカテーテル先端部のルーチン培養による微生物学的検査を実施すべきではない。
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