台湾の看護師による血液・体液曝露後管理の遵守意向:計画的行動理論の適用
Intention to comply with post-exposure management among nurses exposed to blood and body fluids in Taiwan: application of the theory of planned behaviour
N.-Y. Ko*, S.-H. Yeh, S.-L. Tsay, H.-J. Ma, C.-H. Chen, S.-M. Pan, M.-C. Feng, M.-C. Chiang, Y.-W. Lee, L.-H. Chang, J.-F. Jang
*National Cheng Kung University & Hospital, Taiwan
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 321-326
看護師は、針刺しや鋭利物損傷による血液媒介ウイルスの職業的感染リスクが極めて高い。本研究の目的は、看護師が職業曝露後管理を遵守する意向を、計画的行動理論(theory of planned behavior)を用いて予測することである。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)拠点病院に勤務する一部の正看護師に対して横断研究が実施された。計画的行動理論に基づいた無記名の自記式質問票を 1,630 名の看護師に配布し、1,134 名(69.5%)から回答を得た。これらの看護師のうち、2003 年から 2005 年に血液・体液曝露があったと報告したのは合計 802 名(71%)であり、この集団を解析対象とした。曝露を受け、感染症専門医による曝露後予防の処方を受けた看護師 121 名のうち、経過観察のために再度受診した看護師は 44.6%のみであり、また曝露した看護師のうち最終的な血清学的状態の確認を行った看護師は 56.6%のみであった。構造方程式モデリングにより計画的行動理論を評価したところ、行動統制感(perceived behavioral control)(曝露後予防による管理の難易度についての看護師の認識、β = 0.58)、主観的規範(subjective norm)(曝露後予防を遵守すべきとする社会的圧力についての看護師の認識、β = 0.15)、および姿勢(曝露源の血清学的状態を確認する必要性に対する看護師の認識、β = 0.12)は、看護師の曝露後管理を遵守する意向に、有意かつ直接的に影響することが示された。仮説モデル検定からは、このモデルは予測された関連性および理論的構成概念(theoretical construct)の方向性に適合することが示された(χ2[14、N = 802]= 23.14、P = 0.057、GFI = 0.987、RMSEA = 0.039)。看護師が曝露後管理を遵守する意向の分散値の 54%は、計画的行動理論モデルの構成概念(theory of planned behavior model construct)によって説明された。計画的行動理論は、看護師が曝露後管理を遵守する意向の予測に適したモデルである。医療施設は、看護師の曝露後管理の遵守を促すために、経過観察にかかわる負担を軽減するための指針を設けるべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
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