N95 マスクの密着度判定のためのユーザーシールチェックの感度および特異度★★

2011.03.03

Sensitivity and specificity of the user-seal-check in determining the fit of N95 respirators


S.C. Lam*, J.K.L. Lee, S.Y. Yau, C.Y.C. Charm
*Open University of Hong Kong, Hong Kong SAR, China
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 252-256
呼吸器病原体を伝播させる可能性のある飛沫の吸入を予防するために、世界保健機関(WHO)および米国疾病対策センター(CDC)は N95 マスクを推奨している。N95 マスクによる伝播予防の信頼性は、装着者へのマスクの密着度に依存する。定量的フィットテストは、この密着度の客観的評価に使用されるゴールドスタンダードである。マスクの製造メーカーも、マスク漏れの確認のために、自己報告によるユーザーシールチェックを行うことを推奨している。本研究の目的は、ユーザーシールチェックの感度および特異度を定量的フィットテストと比較評価することにより、ユーザーシールチェックによる N95 マスクの密着度の判定性能を調べることである。前向き横断研究デザインを採用した。合計 204 名の地元の中国人看護学部生を登録し、汎用されている 2 種類のマスク(3M 1860S および 3M 1862)の評価を行った。濃縮粒子数計測フィットテストシステム(Condensation Nucleus Counter Fit Tester System)を用いて、ユーザーシールチェックの結果をゴールドスタンダードである定量的フィットテストと比較した。マスクに対するユーザーシールチェックの感度および特異度を算出した。その結果、ユーザーシールチェックでは、N95 マスクの密着度判定の感度、正確度、および的中率が低いことが示された。ユーザーシールチェックは定量的フィットテストの信頼性のある代替方法であることを証明することはできなかった。今回の結果から、ユーザーシールチェックは多量のマスク漏れであっても、検出の信頼性に欠ける可能性が示唆された。N95 マスクの密着度の判定には、定量的フィットテストを用いることが推奨される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
リアルタイムに漏れ率を確認できる粒子数計測装置がすでに発売されており、呼吸器防護具の装着の適正使用に一役買っている。

同カテゴリの記事

2009.06.30

Reduction in surgical site infection in patients treated with microbial sealant prior to coronary artery bypass graft surgery: a case-control study

2013.08.31

Prevalence of latent tuberculosis infection among healthcare workers in China as detected by two interferon-gamma release assays

2007.01.31

Comparison of two alcohol-based surgical scrub solutions with an iodine-based scrub brush for presurgical antiseptic effectiveness in a community hospital

2021.12.31
Nudging hand hygiene compliance: a large-scale field experiment on hospital visitors

P.G. Hansen*, E.G. Larsen, A. Modin, C.D. Gundersen, M. Schilling
*Roskilde University, Roskilde, Denmark

Journal of Hospital Infection (2021) 118, 63-69


JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ