殺芽胞薬の標準的検査法

2011.03.03

Testing standards for sporicides


P.N. Humphreys*
*University of Huddersfield, UK
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 193-198
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)芽胞による汚染への対処が可能な製剤が必要とされており、殺芽胞薬は医療環境において極めて重要である。殺芽胞効果の標榜を検証するための殺芽胞性検査基準は、市販の殺芽胞製剤を評価するために重要なツールである。欧州には多くの殺芽胞性検査基準があり、市販の殺芽胞薬が標榜する効果を実証するためにしばしば使用されている。しかし、これらの検査では、接触時間が長く(30 分以上)、また表面汚染を対象としていないため、これらの基準は医療施設における殺芽胞薬の使用実態をあまり反映していない。代替として、芽胞懸濁液ではなく汚染担体を検査に使用する国際基準が利用可能であるのに加えて、現在では経済協力開発機構(OECD)が現行の欧州の基準より実態に即した検査手法を用いた統一基準を策定中である。本稿は、検査手法における主要な相違点、および検査基準が殺芽胞薬の使用実態をどの程度反映しているかに焦点を当てつつ、現行の殺芽胞薬の検査基準をレビューする。また、欧州の殺芽胞性検査基準を適用する際に多くみられる問題点や誤謬についても若干の考察を行う。最後に現行の検査基準における欠点を明示・考察する。
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監訳者コメント
抗菌療法関連下痢症の起因菌として臨床的に最も重要なクロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)は、偏性嫌気性菌でありながら、芽胞を産生することから環境を介して水平伝播することとなり、病院感染制御の観点からは最も対応が難しい病原体の 1 つである。医療環境における環境表面の汚染にどのように対処するのか、現場における重要な課題となっている。

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