病院環境内での血液培養汚染の臨床的および経済的影響

2011.03.03

Clinical and economic impact of contaminated blood cultures within the hospital setting


Y.M. Alahmadi*, M.A. Aldeyab, J.C. McElnay, M.G. Scott, F.W. Darwish Elhajji, F.A. Magee, M. Dowds, C. Edwards, L. Fullerton, A. Tate, M.P. Kearney
*Queen’s University Belfast, UK
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 233-236
血液培養は重篤な感染症の診断に重要な役割を担っているが、血液培養汚染(すなわち血液培養偽陽性)は病院環境内で高い頻度でみられる問題である。本研究の目的は、血液培養偽陽性の結果が下記のアウトカムに及ぼす影響を明らかにすることである。在院日数、宿泊費用、抗菌薬の費用、および臨床検査・画像検査の費用。後向き症例対照研究デザインにより、血液培養偽陽性症例 142 例を適切な対照(培養で真の陰性と判定された患者)とマッチさせた。マッチングの基準は、年齢、併存疾患スコア、および入院期間とした。研究期間は 13 か月(2007 年 7 月から 2008 年 7 月)であった。症例と対照との平均値の差は、入院期間は 5.4 日(95%CI[信頼区間]2.8 ~ 8.1 日、P < 0.001)、総費用は 5,001.5 ポンド(7,502.2 ドル、95%CI 3,283.9 ポンド[4,925.8 ドル]~ 6,719.1 ポンド[10,078.6 ドル]、P < 0.001)であった。したがって、本研究実施病院の 1 年間の偽陽性血液培養発生数は 254 例であったことと併せると、血液培養偽陽性の全症例の 1 年あたりの追加的な入院期間は 1,372 日、無駄な追加的な病院費用は 1,270,381 ポンド(1,905,572 ドル)であった。したがって、血液培養偽陽性は入院期間の延長、検査・薬剤費用の増加に大きな影響を及ぼすことが示された。これらの結果は、血液培養・採取の技術水準を向上させるための介入が必要であること、それよって患者のケアの質および医療資源の利用のいずれもが改善することを示している。
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監訳者コメント
血液培養検査の検出感度が低いことは周知の事実であるが、陽性時における治療への寄与について考えると実施すべきであり、経済性ばかりでは推し量れない。

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