殺芽胞薬に対する自然耐性および汚染除去不成功の可能性★
Innate resistance to sporicides and potential failure to decontaminate
J.-Y. Maillard*
*Cardiff University, UK
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 204-209
細菌芽胞の多くは殺生物薬に対する内在的な耐性を有しており、特定の状況の下で一部のアルキル化殺生物薬や酸化性殺生物薬のみが殺芽胞効果を発揮する。芽胞に対する作用は、薬剤濃度、曝露時間、汚染状態、および処置される表面のタイプなどのいくつかの重要な因子から影響を受ける。通常、高濃度の殺生物薬への数分間の曝露によって殺芽胞効果が得られる。これらの因子についての認識が欠如していると、殺芽胞効果が低下して、芽胞の生残につながる。医療現場において、殺芽胞薬は、環境表面の消毒や(内視鏡などの)特定の医療器材の高水準消毒に利用される。医療器材の消毒には、有効性データを考慮しつつ、高濃度かつ長時間の曝露により殺芽胞効果を発揮させる必要がある。しかし、環境表面の消毒には高濃度の曝露は推奨されず、また長時間の曝露は実施不可能である。この場合、殺芽胞効果は大幅に低下し処置後も芽胞が生残することが予想され、このことから表面への芽胞残存を説明することができる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
抗菌療法関連下痢症の起因菌として臨床的に最も重要なクロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)は、偏性嫌気性菌でありながら、芽胞を産生することから環境を介して水平伝播することとなり、病院感染制御の観点からは最も対応が難しい病原体の 1 つである。医療環境における環境表面の汚染にどのように対処するのか、現場における重要な課題となっている。
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