抗菌薬管理プログラム:フランス南西部の病院における法的枠組みおよび構造(structure)と過程(process)の指標、2005 ~ 2008 年
Antibiotic stewardship programmes: legal framework and structure and process indicator in Southwestern French hospitals, 2005-2008
C. Dumartin*, A.-M. Rogues, B. Amadeo, M. Pefau, A.-G. Venier, P. Parneix, C. Maurain
*Southwestern Regional Coordinating Centre for Nosocomial Infection Control (CCLIN), France
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 123-128
フランスの病院は、抗菌薬の使用の改善を目的とした抗菌薬管理プログラムの実施が求められている。本研究では抗菌薬管理プログラムの法的枠組みを分析するとともに、法的枠組みがフランス南西部の病院の抗菌薬管理プログラム開発に及ぼす影響を評価した。関連する個々の公的文書を対象として、求められている対策、告示日、管理方法、およびインセンティブを分析した。2005 年から 2008 年に 84 病院で後向き調査を年 1 回実施し、抗菌薬管理プログラムの構成項目の実施状況として組織編成、資源、および活動についてモニターを行った。各対策の改善状況、および抗菌薬管理プログラムの実施状況が反映される構造(structure)と過程(process)の指標(SPI)の改善状況を、病院ごとに示した。2002 年以降に保健当局が告示した公的文書には、過去の専門的なガイドラインに基づく抗菌薬管理プログラムの要件が反映されていた。2006 年と 2007 年にはインセンティブと管理方法が強化され、SPI の一般への開示が義務化された。研究期間中に、抗菌薬管理プログラムの実施状況に改善が認められた。2008 年には 98%以上の病院が処方集、抗菌薬専門委員会、および手術時の予防ガイドラインを導入し、抗菌薬使用のモニターを行っており、85%の病院は抗菌薬アドバイザーを任命していた。薬剤師が抗菌薬にかかわる時間、およびストップ・オーダーによる使用制限には、ほとんど改善がみられなかった。IT ツール、生涯教育、および監査の活用は不十分なままであった。SPI 値は、私立病院およびリハビリテーション施設がその他の施設と比較して高かった。公的文書と SPI が公開されたことによって、専門家や病院経営者が抗菌薬管理プログラムの策定に深く関与するようになり、これが改善をもたらした。しかし、一部の活動についてはさらに強化を図る必要がある。抗菌薬管理プログラムの有効性を正しく評価し、要件を適応させるためには、業務実践をモニターすることが不可欠と考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
フランスでの取り組みであるが、国が指針を示し、各医療機関がそれぞれの事情に応じた形ながらも全体的にその指針に沿った方向で感染対策を向上させていることが伺える。進まない分野は、医療機関が資金やマンパワーを必要としたり、臨床医の特権ともいえる処方に対する強力な介入を必要としたりする部分であり、日本でも同様の点に困難を抱えているといえる。この問題は洋の東西を問わない。
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