ナーシングホーム入居は医療関連肺炎による死亡率増加の主要なリスク因子である

2011.02.28

Nursing home residence is the main risk factor for increased mortality in healthcare-associated pneumonia


P. Depuydt*, B. Putman, D. Benoit, W. Buylaert, P. De Paepe
*Ghent University Hospital, Belgium
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 138-142
医療関連肺炎は、市中感染肺炎とは別の疾患群であると考えられている。本稿では、救急部を経由して入院した患者を対象として、医療関連肺炎の発生率と特性を市中感染肺炎と比較する。2006 年 11 月 1 日から 2007 年 10 月 31 日にベルギーのヘント大学病院救急部で診断された肺炎を、米国胸部学会(American Thoracic Society)/米国感染症学会(Infectious Disease Society of America)の定義に従って市中感染肺炎または医療関連肺炎に後向きに分類した。肺炎と診断された269例の患者に287件の肺炎エピソードが認められ、これらを市中感染肺炎(159 件[55%])と医療関連肺炎(128 件[45%])に分類した。医療関連肺炎患者は市中感染肺炎患者と比較して高齢であり(75 歳[範囲 64 ~ 83 歳]対 68 歳[41 ~ 78 歳]、P < 0.001)、併存疾患が多く、肺炎が重度であった(CURB-65 スコア 2[1 ~ 3]対 1[0 ~ 2]、P < 0.001)。また、医療関連肺炎患者は市中感染肺炎患者と比較して不良な臨床経過が高頻度にみられ(27% 対 15%、P < 0.01)、入院期間が長期間であった(12 日対 9 日、P < 0.001)。多変量回帰分析では、院内死亡の独立予測因子は医療関連肺炎ではなく、ナーシングホーム入居であった(オッズ比 2.96、95%信頼区間 1.12 ~ 7.84、P = 0.03)。結論として、救急部を経由して入院した肺炎患者は高い割合(45%)で医療関連肺炎に分類された。医療関連肺炎に分類されることは、不良な臨床経過と関連していた。ナーシングホーム入居は死亡率増加の独立予測因子であった。
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