数値流体力学を用いた一般病棟の換気システムの設計の再考察

2011.01.31

Rethinking hospital general ward ventilation design using computational fluid dynamics
R. Yam*, P.L. Yuen, R. Yung, T. Choy
*City University of Hong Kong, Hong Kong SAR, PR China
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 31-36


良好な空気質管理下での室内換気により、病院内の空気伝播による呼吸器感染やその他の感染の拡大を最小限に抑えることができる。本稿では、一般病棟での感染予防・制御における換気の意義を検討するとともに、交差感染の機会を減少させることが可能な簡易かつ費用効果の高い換気法を明らかにする。数値流体力学(computational fluid dynamics)を利用して、数種類の換気システムによる微生物除去のシミュレーションおよび比較を行った。多くの一般病棟で使用されている従来の廊下の空気を流入させる設計ではなく、病室内の空気を排出するように設計を変更した。換気量の増加が認められたほか、数値流体力学的評価の結果から、換気能および微生物除去が有意に改善したことが示された。このような改善により、極めて低コストでありながら、適切に建設された隔離室が維持すべき基準を満たすことが可能である。交差感染を最小限に抑えるために、本研究で新たに特定された換気パラメータを、一般病棟の新規設計の際には広く適用することを推奨する。また全面的な改修よりもはるかに小さな解体かつ低コストで、現存の一般病棟に今回の換気システムを設置することが可能である。
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監訳者コメント:
設計・施工時の管理はできていても、恒常的な空調メンテナンスに関して我が国ではいまだ十分とはいえない。工学設計、空調管理面からの重要性をこうした論文を通して学びたい。

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*Heidelberg University Hospital, Germany
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