手指衛生遵守に対する在職年数、手指衛生教育、および患者・看護師比の影響
Influence of job seniority, hand hygiene education, and patient-to-nurse ratio on hand disinfection compliance
S. Buffet-Bataillon*, E. Leray, M. Poisson, C. Michelet, M. Bonnaure-Mallet, M. Cormier
*CHU Pontchaillou, France
Journal of Hospital Infection (2010) 76, 32-35
2006年および2007年に、手指衛生遵守状況を直接観察により評価した。2007年には、直接観察の期間中に在職年数、手指衛生教育、および患者・看護師比などの特性のデータを収集した。2回の評価の間に手指衛生推進プログラムを実施した。単変量解析および多変量解析により、手指衛生遵守の改善に関連する因子を特定した。2006年から2007年に手指衛生機会は合計761回あり、完全遵守※率は44.9%から58%に(P < 0.001)、部分遵守※※率は73.5%から88.4%に(P < 0.001)改善した。2007年には、本調査対象の臨床部門に在職年数の長い医療従事者がいる場合は、手指衛生の完全遵守率(P = 0.04)または部分遵守率(P = 0.08)の改善が認められた。手指衛生の部分遵守率は、手指衛生教育実施後の2007年に有意に改善した(P < 0.015)。観察時の患者・看護師比と遵守率との関連はみられなかった。多変量解析により、在職年数が手指衛生遵守の独立予測因子であることが判明した。今回の結果から、手指衛生遵守は手指衛生教育による影響を受けること、また在職年数の長い医療従事者は他の従事者へのロールモデルとなり得ることが示唆される。今後の衛生介入方法の策定にあたっては、これらのデータを考慮するべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
継続的な教育ならびに観察により手指衛生の遵守率の維持が行われている。人為的な手指衛生行動を絶えず持続することは至難の業である。
監訳者注:
※完全遵守(overall compliance):手指衛生機会の前後の両方で手指衛生行動を実施。
※※部分遵守(partial compliance):手指衛生機会の前後の少なくとも一方で手指衛生行動を実施。
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