2007年のベルギーにおける病院感染症全国有病率調査★★
The 2007 Belgian national prevalence survey for hospital-acquired infections
B. Gordts*, F. Vrijens, F. Hulstaert, S. Devriese, S. Van de Sande
*AZ Sint Jan, Belgium
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 163窶・67
ベルギーでは、継続的な対象限定サーベイランスが実施されているものの、病院感染症の病院内有病率に関するデータは公表されていない。ベルギーの急性期ケア病院63施設が、病院のすべての入院患者または各病棟の50%の患者を対象とした点有病率調査に参加した。2007年10月から11月の1日間に、各病棟における病院感染症を病床で登録した。診断は、携帯用コンピューターで使用できる基準判断のための特別なソフトウェアによる専用システムを利用して、米国疾病対策センター(CDC)基準に従った。全国で調査対象となった患者数の合計は543病棟の17,343例であった。病院感染症全有病率は7.1%(95%信頼区間[CI]6.7%~7.4%)、少なくとも1つ以上の病院感染症を有する患者は6.2%(95%CI 5.9%~6.5%)であった。成人領域の集中治療部門における病院感染症の有病率は31.3%であった。病院感染症の多くは、非集中治療部門(非ICU)病棟、主として内科、外科、高齢者、およびリハビリテーションの病棟における入室患者に認められた。高齢者病棟とリハビリテーション病棟で最も頻度の高い病院感染症は尿路感染症であった。今回の調査により、CDC基準に基づいて病院感染症を診断するための専用システムを搭載した携帯用コンピューターを、大規模な点有病率調査に活用することは可能であり、患者間の診断のばらつきを減少させ得ることが示された。この調査で判明したベルギーの急性期ケア病院における病院感染症の有病率は近隣諸国と同等であった。全病院感染症の80%以上が非ICU病棟で発生していることから、感染防止の取り組みをICU以外にまで拡大する必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
やはり急性期ケア病院における医療関連感染症の有病率は5%から10%の範囲となる。たしかにICU症例は高リスクであるが、この論文に示されているように、実際の数としては ICU以外の病棟で多くの医療関連感染症を認めるわけであり、感染防止のための努力はあらゆる場所で心掛ける必要がある
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