退院後の浸出液:退院後の患者の手術部位感染症の予測★★

2010.07.30

Discharge after discharge: predicting surgical site infections after patients leave hospital


N. Daneman*, H. Lu, D.A. Redelmeier
*Sunnybrook Health Sciences Centre, Canada
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 188-194
この地域住民対象の後向きコホート研究では、退院後の手術部位感染症(SSI)の発生頻度、重症度、および予測について検討した。2002年4月1日から2008年3月31日に、カナダのオンタリオ州で初回の待機的手術を目的に入院したすべての患者を対象に評価を実施した。関連病院、救急治療室、およびカナダ国民皆保険制度に基づく医師からの請求に関するデータベースを組み合わせて、手術および患者特性を抽出した。手術から30日以内のSSI発生リスクを、初回入院、外来診察、救急治療室への再入室、および再入院に基づき評価した。622,683例の患者コホートの84,081例(13.5%)がSSIと診断され、その半数を超える患者(48,725例)が退院後SSIであった。退院後SSIは、再手術(オッズ比[OR]2.28、95%信頼区間[CI]2.11~2.48)、救急治療室への再入室(OR 9.08、95%CI 8.89~9.27)、および再入院(OR 6.16、95%CI 5.98~6.35)のリスクの増加と関連していた。ごく一般的なリスク指標により院内SSIリスク増加の増加が予測できたが、退院後感染症のリスクの増加は予測できなかった。退院後感染症患者のベースラインの特性は、病院内感染症患者よりも非感染症患者に類似していた。退院後感染症の予測因子には、短い手術時間、短い入院期間、地方在住、アルコール依存症、糖尿病、肥満などがあった。退院後SSIは頻度が高く、重篤で、発生時期と部位にばらつきがあり、一般的なリスク指標を用いた予測が困難である。退院後SSIはカナダの医療制度における重大な潜在的な負担となっている。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
入院期間を短くすることを至上目的とすると、退院後に発生する手術部位感染症の管理には不利益となる可能性があることを示唆している。わが国では平均在院日数が長いことがしばしば攻撃対象となっているが、SSIサーベイランスなどはむしろ手術後に十分な観察期間を確保することとなり、部分的には患者安全につながっている可能性があるかもしれないことも議論されるべきである。まあ、ムダな入院管理で耐性菌が定着してしまっては元も子もないが。

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