日本の大規模な消化管手術コホートにおける手術部位感染症の独立したリスク因子としての年齢★
Age as an independent risk factor for surgical site infections in a large gastrointestinal surgery cohort in Japan
M. Utsumi*, J. Shimizu, A. Miyamoto, K. Umeshita, T. Kobayashi, M. Monden, K. Makimoto
*Osaka University, Japan
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 183-187
消化管手術を受ける日本人患者の手術部位感染症(SSI)のリスク因子を評価するために、大規模調査を実施した。研究の目的としては、(i)消化管手術によるSSIのリスク因子として年齢を検討すること、および(ii)腹腔鏡下胆嚢摘出術と開腹胆嚢摘出術における SSIのリスク因子の相違を検討することとした。2003年7月から2007年11月に日本の参加病院20施設から調査データを前向きに収集した。SSIの診断は米国疾病管理予防センター(CDC)の基準を使用した。SSIはデータが得られた12,015例中1,471例に認められ、全発生率は12.2%であった。最終的なロジスティック回帰モデルにおいては、年齢は開腹胆嚢摘出術、胃切除術、および虫垂切除術でSSIリスク因子であった。手術時間は6種類の手術手技でのSSIのリスク因子であり、創分類およびドレーンの使用も半数以上の手術手技でのリスク因子であった。腹腔鏡下手術を開腹手術と比較すると、絹製縫合糸の使用は腹腔鏡下胆嚢摘出術でのSSIリスク因子であった。ドレーンの使用、創分類、手術時間、男性であること、および年齢は、開腹胆嚢摘出術でのSSIリスク因子であった。まとめると、患者年齢はいくつかの消化管手術でのSSIの有意な予測因子であるが、腹腔鏡下手術でのSSIのリスク因子は開腹手術の場合とは大幅に異なると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
大阪からの多施設共同研究である。SSIリスク因子をわが国の医療環境において同定しようとする試みであり重要である。
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