救急部におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の入院時スクリーニングが入院期間に及ぼす影響

2010.06.30

Impact of admission screening for meticillin-resistant Staphylococcus aureus on the length of stay in an emergency department


P. Gilligan*, M. Quirke, S. Winder, H. Humphreys
*Beaumont Hospital, Ireland
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 99-102
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の予防と制御には、早期検出・隔離などの対策が必要である。救急部ではこのような対策と、患者を緊急に治療し急性期病床に速やかに移動するための必要条件とを両立させなければならない。本研究は多忙で過密状態の救急部を対象として、患者がMRSAリスク群であると判定されていたこと、およびMRSA陽性であることが当院で以前に判明していた患者を対象とした再スクリーニングが、患者の入院期間に及ぼす影響を評価した。以前にMRSA保菌の診断を受けていた患者を救急部への到着時に自動的に「リスク群」に分類し、当院でMRSA感染・保菌が認められていなかった「非リスク群」と比較した。18か月の研究期間に16,456例が救急部を経由して入院し、このうち985例(6%)がリスク群であった。病棟への入院要請を行ってから病棟に移動するまでの推定時間中央値は、非リスク群10.4時間、リスク群12.9時間であった。女性であること、年齢65歳超、およびリスク群であることは、入院要請後にも救急部に滞在していた時間が統計学的に有意に長いことの独立予測因子であった。救急部や入院患者のための隔離設備が十分にない状況において、国や地方のMRSA施策は救急部の患者の利益と最善の診療を実施するための必要条件とを両立させる必要があると考える。緊急入院が必要なMRSA感染・保菌患者にはベッドの確保が必須である。
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監訳者コメント
MRSA保菌・感染患者への隔離を含めた感染対策と、迅速かつ適切な救急医療との両立は難しいという課題を突きつけた論文である。MRSA患者がそうでない患者よりも病棟への移動が2.5時間程度遅延しているという解析結果であるが、その間も救急部で必要な医療は施される。全体の6%の患者におけるこの程度の遅延が医療全体にどのような影響を与えるかについて、さらなる検討が必要であると考える。

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