表面消毒薬の有効成分の吸収は表面処理に用いる繊維の種類に依存する
Adsorption of active ingredients of surface disinfectants depends on the type of fabric used for surface treatment
R. Blos*, S. Meyer, G. Kampf
*Bode Chemie GmbH, Germany
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 56窶・1
入院患者を取り巻く直近の環境における表面消毒は、院内感染予防の重要な要素であると考えられる。しかし、著者らが知る限り、これまでモップの繊維の種類が表面消毒の効果に影響するとはされていない。そこで、この研究では4種類の異なる繊維(A:白色パルプ + ポリエステル、B:ビスコースレーヨン、C:ポリエステル、D:ビスコース・セルロース・ポリエステルの混合)を対象として、実際に使用されている3種類の表面消毒薬からの、塩化ベンザルコニウム、グルタルジアルデヒド、およびプロパン-1-オールの吸収を検討した。各繊維を各消毒薬の使用濃度の溶液に最長24時間にわたり曝露した。曝露の前後に繊維片を採取して、標準化した方法で絞った。絞り液を用いて、それぞれの有効成分の濃度測定を4回ずつ繰り返した。グルタルジアルデヒドおよび塩化ベンザルコニウムは高速液体クロマトグラフィーを用いて分析して、プロパン-1-オールの分析にはガスクロマトグラフィー法を用いた。塩化ベンザルコニウムでは白色パルプ繊維片への吸収が多く(最大値は30分後で61%)、次いでビスコースレーヨン繊維片(最大値は30分後で70%)、混合繊維片(最大値は7時間後で54%)であった。塩化ベンザルコニウム吸収量はポリエステル繊維片で最も少なく、最大値は15分後で17%であった。ポリエステル繊維片の場合のみで塩化ベンザルコニウム濃度が計算値に近かった。グルタルジアルデヒドおよびプロパン-1-オールはいずれの繊維にも吸収されなかった。効果的な表面消毒には、適切な繊維を選択することも必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
モップの繊維と環境消毒薬の相性という視点は面白い。
同カテゴリの記事
Implementing a declination form programme to improve influenza vaccine uptake by staff in Department of Veterans Affairs spinal cord injury centres: a pilot study
Nudging hand hygiene compliance: a large-scale field experiment on hospital visitors P.G. Hansen*, E.G. Larsen, A. Modin, C.D. Gundersen, M. Schilling *Roskilde University, Roskilde, Denmark Journal of Hospital Infection (2021) 118, 63-69
Hospital-acquired influenza: a synthesis using the Outbreak Reports and Intervention Studies of Nosocomial Infection (ORION) statement
Norovirus outbreak management: how much cohorting is necessary?
Comparison of two single-use scrub suits in terms of effect on air-borne bacteria in the operating room
