スペインの医療従事者に対するQuantiFERONR-TB Gold検査とツベルクリン皮内反応検査のコストの比較★
Costs of QuantiFERONR-TB Gold versus tuberculin skin test in Spanish healthcare workers
R. Linertova*, E.E. Alvarez-Leon, L. Garcia-Perez, P. Serrano-Aguilar
*Canary Islands Foundation for Health and Research (FUNCIS), Spain
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 52窶・5
スペインの医療従事者134名における潜在性結核感染症のスクリーングを実施した際に、ツベルクリン皮内反応検査のコストをQuantiFERONR-TB Gold(QFT-G)検査と比較した。QFT-G検査のコストは医療従事者1名あたり42.5ユーロ、ツベルクリン皮内反応検査は39.5ユーロであった。コストの内訳は検査方法によって異なり、ツベルクリン皮内反応検査において最もコストを要した項目(70%)は参加者が検査に費やした時間であったが、QFT-G検査では消耗品がより高額であった(総コストの50%)。したがって、この結果は参加者の時間給と検査に費やした時間に依存した。スペインの医療システムにおいては、QFT-Gの社会的なコストはツベルクリン皮内反応検査と同等であったが、それらのコストの内訳には大きな相違があった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
クォンティフェロン検査(QuantiFERON;QFT)では、結核菌群(Mycobacterium tuberculosis complex)に比較的特異的な蛋白質であるESAT-6とCFP-10により末梢血リンパ球を刺激して、産生されるインターフェロン-γ(IFN-γ)量を測定することから結核感染の有無を判定する。ツベルクリン皮内反応検査がBCG接種の既往歴に影響されるが、QFTでは交差反応は認められず、判定者の主観による結果の不一致も避けることができる。ただし、QFTでもM. kansasiiなどの一部の非結核抗酸菌に反応することが知られており、注意する必要がある。なお、QFTはわが国で最も多い非結核抗酸菌症である M. avium-intracellulare complex(MAC)とは交差しない。
この論文にもあるように、ツベルクリン皮内反応検査では複数回の受診が必要であるのに対して、クォンティフェロン検査は1回の採血で判定できる点も大きなメリットである。
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