炭疽菌(Bacillus anthracis;Sterne株)に対する二酸化塩素消毒薬の殺芽胞活性の分析

2010.02.28

Analysis of the sporicidal activity of chlorine dioxide disinfectant against Bacillus anthracis (Sterne strain)


B.M. Chatuev*, J.W. Peterson
*Galveston National Laboratory, USA
Journal of Hospital Infection (2010) 74, 178-183
ルーチンの表面汚染の除去は病院・検査室における必須の処置であるが、芽胞を殺菌する有効な非腐食性消毒薬の種類は限られている。二酸化塩素水溶液の殺芽胞効果を検討したところ、いくつかの想定外の問題に遭遇した。密封したマイクロチューブ内で、炭疽菌(Bacillus anthracis;Sterne株)の芽胞を種々の濃度の二酸化塩素水溶液に室温で3分間曝露した後、定量的細菌培養法により芽胞のlog10減少値を測定した。同様に、プラスチックまたはステンレススチール製の生物学的安全キャビネットの表面に消毒薬を噴霧した場合の芽胞減少を測定した。処置後の芽胞を10倍連続希釈した後、5%ヒツジ血液寒天平板培地に塗布し、生残コロニー数を計数した。密封したマイクロチューブ内の芽胞懸濁液に対する二酸化塩素水溶液の消毒効果は高く、わずか3分で生存芽胞数は8 log10減少した。これに対して、表面に消毒薬を噴霧または拡散させる操作では、溶液から二酸化塩素ガスが急速に揮発するため、芽胞の殺滅は1 log10のみにとどまった。二酸化塩素溶液を5%の漂白剤(0.3%次亜塩素酸ナトリウム)で調製すると、二酸化塩素水溶液の噴霧による効果が完全に回復した。二酸化塩素の揮発性に留意しないと不十分な消毒処置をもたらしかねず、重大な危険を招くことになる。二酸化塩素溶液に5%の漂白剤(0.3%次亜塩素酸ナトリウム)を添加すると効果が完全に回復し、安定性は1週間にわたり延長した。
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監訳者コメント
二酸化塩素は最近国内でも有名製薬メーカーが取り扱いを始めており、殺菌力の高さと手軽さ、および消臭効果の高さから、今後市場拡大が急速に進むことが予測されている注目の薬剤である。これを常時低レベルで噴霧して院内感染を減らす取り組みを始めた施設もあるが、効果はこれから検証されるところである。日本人が好きな消毒薬の噴霧は、エアロゾル化した消毒液を散布するということであり、急速な気化が起きやすい条件でもある。次亜塩素酸もそうであるが、塩素系は揮発による活性消失分を念頭におかないと、十分な効果を発揮できないことがある。

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