喉頭鏡ハンドルの汚染★

2010.02.28

Contamination of laryngoscope handles


D. Williams*, J. Dingley, C. Jones, N. Berry
*ABMU NHS Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2010) 74, 123-128
患者1人ずつに対して滅菌済みまたは使い捨ての喉頭鏡ブレードが使用されるが、喉頭鏡ハンドルの消毒がルーチンで行われているとはいえず、患者と職員の間の病原体の伝播経路となる可能性がある。手術室32室に設置されている麻酔室で、「患者にすぐ使用できる状態にある」とされている喉頭鏡ハンドル64本から合計192サンプルを採取し、細菌汚染を半定量的に評価した。さらに、ハンドル58本から採取した116サンプルで、不可視の血液汚染の有無を検査した。ハンドルのうち55本(86%)から1種以上の細菌[腸球菌、メチシリン感性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、クレブシエラ(Klebsiella)属菌、およびアシネトバクター(Acinetobacter)属菌など]が分離された。培養では、嫌気性菌、真菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、または多剤耐性グラム陰性桿菌は検出されなかった。不可視の血液汚染も検出されなかった。分離された微生物の多くは病原性ではなかったが、これらの存在は喉頭鏡ハンドルから病原菌が伝播する可能性を示している。ハンドルの汚染対策には、使用前の消毒・保管の手順の改善、使い捨てのハンドルやシースの導入、およびハンドルの設計を変更して表面の刻み(ギザギザ)や接触点をなくすことなどが挙げられる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント
喉頭鏡ハンドルの消毒はあまり熱心に行われておらず、著者らが指摘するように交差汚染の媒介となりうる。研究では様々な病原体が喉頭鏡ハンドルから分離されており、興味深い所見であると同時に、喉頭鏡ハンドルの消毒滅菌に関する課題を投げかけた形になる。構造上、消毒滅菌は必ずしも容易ではなく、日常の使用中にいかに汚染を少なくするかも重要であろうし、把持した際に滑るのを防止するためであろう表面のでこぼこも、感染対策上はあまり好ましくない。
監訳者注
接触点:ブレードを折りたたんだときにハンドルと接触する点。

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