北米の医療施設における医療器具洗浄器の洗浄効果★
Cleaning efficacy of medical device washers in North American healthcare facilities
M.J. Alfa*, N. Olson, A. Al-Fadhaly
*St Boniface Research Centre, Canada
Journal of Hospital Infection (2010) 74, 168-177
本研究の目的は、手術器具に付着する有機汚染物の最大レベルを判定するとともに、市販の汚染除去測定用キットTOSIRを、臨床的に意義のある有機物汚染試料として器械洗浄器の効果の評価に利用できるかどうかを明らかにすることである。試験データから、器械上の蛋白質およびへモグロビンレベルの測定値(それぞれ374、111 μg/cm2)は、TOSI目視スコア2~3の残存レベル(それぞれ267、60 μg/cm2)に相当することが示された。しかし、標準のTOSI(プラスチック製カバーなし;器械の洗浄評価用)およびTOSI Lum-Chek(細い管腔の器械の洗浄評価用)は洗浄が困難なものではないにもかかわらず、自動洗浄器処理後のTOSI目視スコアが1~5であることは、深刻な洗浄の問題があることを意味する。試験結果から、洗浄後の手術器具の炭水化物レベル(最大352 μg/cm2)およびエンドトキシンレベル(最大25,373 EU/cm2)が高い可能性が示されるとともに、最終すすぎ水の水質にこれまで認識されていない問題が存在することが示唆された。手術後・洗浄前の器具の炭水化物およびエンドトキシンレベルの平均値はそれぞれ138.9 μg/cm2、18.14 EU/cm2であった。洗浄後の蛋白質およびヘモグロビンレベルの平均値の減少は、いずれも99%を超えていた。これらのデータは、器械洗浄器に使用する水の水質を監視する必要があることを示している。また、医療施設で使用する洗浄器を監視する上で臨床的に意義のある方法を確実に提供するために、器械洗浄器の迅速な洗浄指標に関する標準化した基準を早急に確立する必要がある。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
我が国では、機械の性能についての検定試験や運用中の実施試験(in use test)についてはオートクレーブを除き、ほとんど普及していない。たとえば使用中の内視鏡洗浄機が本当に所期の性能を維持しているのかどうかについては、メーカーによる保守点検まかせであるにもかかわらず、その保守点検はコストカットや値引きサービスの対象となっているのである。これはとりもなおさず、「日本人は機械を無条件に信用しすぎている」という、リスク管理に対して人任せな国民性を反映しているものと考えられる。だからこのような簡便な運用中の実施試験法の開発と検証は大きな意義を持つのである。こういったfundamentals(すべての物事の基本中の基本)の重要性の認識は、欧米の知的レベルの層の厚さと深さを下支えしているのである。これに気づかない限り、我が国の先端技術の開発は、軽薄短小レベルを超えることができないであろう。
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