地域医療における医療従事者のインフルエンザワクチン接種のための共同アプローチ★

2009.11.30

Co-ordinated approach to healthcare worker influenza vaccination in an area health service


T. Ballestas*, S.P. McEvoy, J. Doyle, on behalf of the SMAHS Healthcare Worker Influenza Vaccination Working Party
*South Metropolitan Public Health Unit, Western Australia
Journal of Hospital Infection (2009) 73, 203-209
2008年に西オーストラリア州パースの南部都市地域医療サービス(South Metropolitan Area Health Service;SMAHS)の5病院で、地域における医療従事者のインフルエンザワクチン接種率の向上を目的として、地域共同インフルエンザワクチン接種キャンペーンを実施した。このプログラムにおいては宣伝活動とデータ収集を標準化して、各対象者から同意書を取得した。分母データは、西オーストラリア州保健局の職員データベースから取得した。各病院の接種率を算出して、2007年と比較するとともに、ワクチン接種の予測因子を横断調査により追跡して特定した。合計6,387回のインフルエンザワクチン接種が実施された。2008年の接種率は1病院を除くすべての病院で55%を超えた(範囲48.8%~76.5%)のに対して、2007年は55%に達した病院はなかった(範囲29%~51%)。ワクチン接種率はコメディカル職員が最も高く(57.7%)、次いで医師(51.9%)、看護師(49.6%)、患者支援スタッフ(48.6%)の順であった。週20時間以上の勤務となる医療従事者では58.8%が接種を受けていた。ワクチン接種を受けた主な理由はインフルエンザ予防、感染拡大の抑制、およびプログラムが利用できたことであった。また横断調査から、自分はインフルエンザに易感染性であること、インフルエンザは重大な疾患であること、およびワクチン接種が有効かつ重要であることを認識していた医療従事者は、接種率が有意に高いことが示された。医療従事者のインフルエンザワクチン接種のための地域全体でのアプローチにより、接種率は大幅に向上し得る。作業部会による定期的なミーティング、一貫した宣伝活動、標準化されたデータ収集・分析、および上級管理者の協力が重要な要素であり、他の環境においても医療従事者のワクチン接種率の向上に利用できると考えられる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
医療従事者におけるインフルエンザワクチン接種は、医療安全の基本的要素として考える必要があり、あらゆる手段を用いて接種率の向上を図る必要がある。もっとも、わが国では多くの医療施設で90%を超える高いインフルエンザワクチン接種率が報告されている。

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