カテーテル関連血流感染症の病院全体でのサーベイランス:予期されることから予期されないことまで
Hospital-wide surveillance of catheter-related bloodstream infection: from the expected to the unexpected
W. Zingg*, H. Sax, C. Inan, V. Cartier, M. Diby, F. Clergue, D. Pittet, B. Walder
*University of Geneva Hospitals and Faculty of Medicine, Switzerland
Journal of Hospital Infection (2009) 73, 41-46
カテーテル関連血流感染症(CRBSI)は最も発生頻度が高い医療関連感染症の1つであり、これによる合併症発生率、死亡率、および医療資源消費量は極めて大きい。CRBSIサーベイランスは医療の質の改善をもたらすが、集中治療室(ICU)のみで実施されることが多い。著者らは、効果的なCRBSIサーベイランスおよび予防プログラムをデザインするために、すべてのカフなし中心静脈カテーテル(CVC)を対象とした4か月の前向きコホート試験を実施した。CVCの病棟ごとの留置期間、挿入に関する特性、および検査で確定したCRBSI発生を連日評価した。全体で248例の患者が426本のCVCの留置を受け、留置期間は3,567 CVC・日(中央値5 CVC・日)、CRBSIエピソードは15件であった。CVCの挿入は、45%は麻酔科医、47%はICU医、8%は内科医が実施した。CVC使用率はICU、内科、腹部以外の手術、腹部手術で、それぞれ100患者・日あたり29.8、3.8、1.7、4.9であった。患者の14%がCVC留置中に病棟を変更したので、CVC・リスク日は複数の部門にまたがっていた。CRBSIの発生頻度は、ICU、内科、腹部以外の手術、腹部手術で、それぞれ1,000 CVC・リスク日あたり5.6件(監訳者注:原著Table IIIには4.91と記載されている)、1.9件、2.4件、7.7件であった。単変量Cox比例ハザードモデルでは、腹部手術でのCRBSI発生率が高いことは、長いCVC留置期間、経静脈栄養の頻繁な使用、麻酔科医によるCVC挿入と関連していた。CRBSIの発生件数が少ないため、多変量解析は行わなかった。今回のサーベイランスにより、ICUと非ICU部門でCRBSI発生率が同様であったこと、病棟移動が頻繁に行われていることが判明した。非ICU部門におけるCVC留置期間が長い場合は、病院全体でのCRBSIサーベイランスを実施することが望ましい。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
論文というよりは施設状況報告書のようである。
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