集中治療室におけるカルバペネム耐性アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)アウトブレイクの制御に対するチゲサイクリンの効果

2009.07.31

Role of tigecycline in the control of a carbapenem-resistant Acinetobacter baumannii outbreak in an intensive care unit


W. Jamal*, M. Salama, N. Dehrab, G. Al Hashem, M. Shahin, V.O. Rotimi
*Kuwait University, Kuwait
Journal of Hospital Infection (2009) 72, 234-242
アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)感染症発生率は最近数十年で著しく増加しており、特に重症入院患者での発生が多い。抗菌薬多剤耐性株による病院アウトブレイクは、公衆衛生上の脅威が増大している。集中治療室(ICU)で1年間に3件の多剤耐性A. baumannii(MRAB)感染症アウトブレイクが、16~75歳の患者24例に発生した。臨床サンプルから分離株を培養し、自動Vitek II IDシステムおよびAPI 20NEシステムを用いて同定を行った。E-test法により感受性試験を行った。パルスフィールド・ゲル電気泳動法により分離株の分子タイピングを行った。患者および環境のスクリーニングを行った。獲得時間、すなわち入院から感染までの期間は3日から31日の範囲であった。全分離株が多剤耐性菌(MRAB)であり、その大半はカルバペネム耐性(MRAB-C)であったがチゲサイクリン感性であり、最小発育阻止濃度(MIC90)は2 μg/mLであった。全死亡率は16.7%であった。MRAB-Cの消失時間、すなわち抗菌薬開始から感染部位からの菌消失までの期間は、チゲサイクリンを使用しなかった最初のアウトブレイクで8.3日、チゲサイクリンを使用し1例を除く全例が生存した2回目および3回目のアウトブレイクでは、それぞれ2.8日、3.1日であった。環境スクリーニングにより、ICU内の多くの環境表面および機器に目視による汚染が認められた。アウトブレイク菌株は2種類の異なるクローン(DおよびE)に属していたが、環境株14株は3種類のグループ(A~C)に属していた。感染アウトブレイクは、チゲサイクリンによる治療と集中的な感染制御戦略との併用により終結させることができた。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
韓国や台湾では同様に多剤耐性アシネトバクターが台頭しており、わが国でも今後、監視すべき耐性菌である。チゲサイクリンは日本では承認されていないので、耐性菌の増加とともに今後は検討するべきであろう。

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