1分半の手術時手指ラビング法プロトコールの実践時の殺菌効果
Bactericidal efficacy of a 1.5 min surgical hand-rubbing protocol under in-use conditions
G. Kac*, E. Masmejean, M. Gueneret, A. Rodi, S. Peyrard, I. Podglajen
*Hopital Europeen Georges Pompidou, France
Journal of Hospital Infection (2009) 72, 135-139
SterilliumRを用いた1分半の手術時手指ラビング法は、3分間の処置と同等の効果があることが健常ボランティアで示されている。本研究の目的は、この結果が実践時に再現可能かどうかを検討することである。750床の3次ケア大学病院の外来手術室で9週間にわたり、2種類の手術時手指ラビング法の比較、またポビドンヨード(4%)スクラブ液を用いたスクラブ法との比較を、25件の種々の外科手術の前後に行った。ラビング法またはスクラブ法の実施前と終了後1分以内(即時効果)、および手術終了時(持続効果)に、培養プレート上に外科医の利き手をスタンプした。好気条件下で37℃、48時間、プレートを培養した。24時間後と48時間後にコロニー数を計数した。結果を手指あたりのコロニー形成単位(cfu)で表した。ラビング法またはスクラブ法実施前であるベースライン時には、手指の細菌量は3群間で有意差は認められなかった(P=0.19)。即時の抗菌効果または持続的な抗菌効果については、3分間のラビング法プロトコールではスクラブ法プロトコールと比較して手指の微生物数の有意な減少がみられたが(それぞれP=0.04、P=0.02)、1分半と3分間のラビング法プロトコールの比較では、減少に有意差は認められなかった(それぞれP=0.41、P=0.36)。1分半のプロトコールを用いたSterilliumRによる手術時手指擦式法は、手術時の手指消毒の有力な代替法と見なすべきである。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
Sterilliumという2-プロパノール40%、1-プロパノール35%の混合アルコールベース製剤において、1分半のラビング法で従来法と同等の消毒効果があるとの文献である。アルコールベースなら作用が瞬間的なので、1分半以上擦り込んでもこれ以上の効果向上がみられないのは、当たり前といえば、当たり前である。ポビドンヨードは、ヨウ素が基剤から緩やかに放出されるようにした徐放製剤であるので、3分程度かけてスクラブしないと、十分なヨウ素が放出されないために消毒作用が発揮できない。よってアルコール製剤よりは長時間の衛生時間が必要となるのである。
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